イスラエルのEver After Foods、培養肉生産をスケールアップする大規模プラットフォームを発表

イスラエルのEver After Foods(旧称:Plurinuva)が、特許取得済みのバイオリアクターによる培養肉生産プラットフォームの立ち上げを発表しました。この新技術により、培養肉の生産性を従来比700%向上できるとのことです。

バイオリアクターへの移行は生産上の課題の一つ


少量の細胞を培養してタンパク質を作り出す場所となる、バイオリアクター。現状、多くの培養肉メーカーが使用しているのは、バイオ医薬品業界で使われるのと同じ、既製品の攪拌槽型リアクターです。

しかし、本来医薬品業界向けにデザインされたリアクターは、培養肉の大規模生産には不向きという問題が。Ever After FoodsでCEOを務めるEyal Rosenthalは、従来の技術では「既存の食肉と同等の価格を実現するには1万リットルを超える巨大なリアクターが必要になるが、そのサイズのリアクターは動物細胞の培養には利用できない」と指摘しています。

ラボスケールで完成した培養技術を、量産に向けてバイオリアクターでいかに再現するかが、全プレーヤーに共通の課題となっていました。

スケールメリットによる生産性向上


Ever After Foodsが新たに開発したのは、小型で設備投資も安く抑えられる、触媒充填型リアクター。 Rosenthalは、「パイロット版のシステムはすでに完成しており、生産システムについても開発を進めている。生産システムを他の培養肉メーカーにライセンスすることで、将来的に相当数が必要と見込まれるバイオリアクターの供給不足にも対処できる」といいます。

同社のシステムによりスケールメリットが得られ、培養肉生産にかかるコストを、既存の食肉のコストと同等以下に下げられることが期待できます。生産性の観点では、バイオリアクターのサイズにかかわらず、その他の培養技術によるプラットフォームと比べ、生産性を700%向上できるとのこと。わずか35リットルのバイオリアクターで、10kg以上の塊肉を培養できるとしています。

昨年、Pluriからスピンアウトする形で設立された後、会社全体のリブランディングを行ったEver After Foods。新たな社名は、「Eat happily ever after(将来にわたって幸せな食を)」にちなんで名付けられました。

イスラエル最大の食品メーカーであるTnuvaからも支援を受け、グローバル展開も見据える同社。リブランディングにより消費者目線に立ち返り、破壊的な新技術開発で量産化に近づく一歩を踏み出しています。

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