韓国ムスリム連盟が、一定の要件を満たした培養肉をハラールとみなす見解を発表

韓国で最大のイスラム教組織である韓国ムスリム連盟(以下、KMF)が、一定の要件を満たした培養肉をハラールと認めるファトワー(勧告、見解)を発表しました。同国のスタートアップ企業Simple Planetが認証取得を目指しています。

シンガポールに次ぐ2カ国目の承認


KMFによると、ハラール基準に則って調達・生産された培養肉はハラールとみなされ、イスラム教徒が消費しても構わないとのこと。

ハラール委員会での検討の結果、昨年のシンガポール・イスラム評議会(MUIS)による同様の裁定に続く、世界で2番目のファトワーを発表しました。

ファトワーは法的拘束力は持ちませんが、シャリーア(イスラム法)学者による公式の見解として発表されるもので、イスラム教徒にとってはコーランに明確に定義されていない事柄に関する重要な指針となります。

以前からハラール認証取得を目指してきた韓国の培養肉スタートアップ企業Simple Planetは、KMFの見解を受け、改めてその取り組みを加速させると発表。

同社は、培養肉の原料として用いるタンパク質パウダーと不飽和脂肪酸ペーストを生産しており、牛、豚、鶏、クロマグロ、ロブスターなど、少なくとも13種類の動物細胞株を樹立しています。

先月には、タイ・チュラロンコン大学のハラールサイエンスセンター(HSC)と提携を行う旨の覚書を締結。ハラールの適正製造規範(GMP)に適合した生産施設の設置と、自社製品の認証取得を進める計画を示していました。

ハラール市場への道を開く鍵に


KMFのファトワーによると、最終的なハラール認証には、生産施設と工程の詳細な検査が必要。それでもこの見解は、国内の培養肉生産者がハラール市場に参入し、イスラム教徒の消費者を引きつける道を開く重要な進展であることに変わりはありません。

KMFのデータでは、韓国には現在数十万人のイスラム教徒(うち70〜80%は外国人)がいると推定され、その40%が首都ソウルに居住しています。

世界的に見ても、ハラールを遵守する消費者は全人口のおよそ4分の1にまで増加。ハラール食肉市場は毎年7.4%成長し、2032年には1兆6,000億ドル(約239兆円)に達すると推定されています。

培養肉生産者もここに機会を見出しており、44社を対象に行われた2023年の調査では、87%の企業がハラール要件への準拠を優先事項に含めると回答。

しかしながら、このような基準に製品を準拠させる方法を示したリソースが不足していることが、依然として大きな参入障壁となっているとされていました。

参考記事:
Simple Planet | LinkedIn
Korean Muslim Federation Issues Fatwa Ruling Cultivated Meat As Halal
Korean Muslim Federation Declares Cultivated Meat Halal – The Halal Times

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