カナダのNew School Foods、「指向性凍結」技術を利用した植物性ホールカットサーモンの販売を拡大

カナダのスタートアップ企業New School Foodsが、Gordon Food ServiceおよびBondi Produceとの全国的な販売契約を結び、特許取得済みの「指向性凍結(directional freezing)」技術によって繊維質を再現した植物性ホールカットサーモンの販売を拡大しました。

カナダで高級シーフードの販売を拡大


「生」の状態で販売され、見た目も調理法も本物の魚と同じこの製品は、昨年末に市場にデビューし、現在では寿司レストランからホテルまで、さまざまなタッチポイントで展開されています。

近年、消費者が植物性タンパク質を押出成形した加工製品に反発し、代替肉・シーフード市場が後退しつつある中、同社はサーモンを始めとするより高級な製品に焦点を当てました。

創業者でCEOのChris Brysonは、「この市場に必勝法はなく、製品が売れないのを一つの理由に帰することもできない。価格、味と食感、調理体験、栄養プロファイル、それに市場全体が政治に利用されていることも含め、多くの要素が複雑に絡み合っている」と指摘。

「単純に、消費者が半分しか価値のないものに2倍の値段を払いたがらないのは当然だ。しかし、明確な価値提案ができればチャンスは必ずあり、当社の製品は人々を感動させてきた」と自信を示しています。

繊維状の食感を再現する凍結技術


New School Foodsの特許出願書類によると、同社の技術ではまず、アルギン酸ナトリウムなどのハイドロコロイドを使ってハイドロゲルを作り、凍結面に配置。これにより、ゲル全体に細長い繊維状の氷の結晶が形成されます。

氷が溶けた後に残るハニカム状の構造物を、タンパク質、脂肪、香料、着色料、その他の栄養素を含んだ溶液に浸して隙間を埋め、まるで「生」のような肉の塊を作製。調理するとタンパク質がゲル化し、繊維状の食感が生まれます。各種パラメータを調節すれば、繊維の幅や長さ、抵抗を変えることも可能です。

また、筋繊維だけでなく脂肪の層も分布させ、脂肪の異なる配置を作り出して質感の調整を実現。

Brysonによると、植物性食品では一貫した構造をしているために食感が均一過ぎる場合があるといいますが、同社の製品では対照的に、「サーモンの身に白い筋が入って見えるような脂肪の多い層もあれば、氷の結晶が残した溝の内側に含まれる脂肪もある」といいます。

現在New School Foodsは手作業で少量生産を行っていますが、そのプロセスは拡張性が高く、特注の高価な設備を必要とせずに、既製品キットの改造で事足りるとのこと。

来年には、前回の資金調達に合わせてトロントに開設したパイロットプラントでバッチ生産から連続生産へと移行し、生産時間を2日から数時間に短縮する計画です。

参考記事:
New School Foods scales ‘directional freezing’ tech to make next generation of plant-based whole cuts
Canada’s New School Foods Brings Whole-Cut Plant-Based Salmon to National Foodservice Market

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