ビーンレスコーヒーを開発するシンガポールのPreferが、小売大手との協業でアイスクリームを発売

シンガポールで、ビーンレスコーヒーを原料に用いたアジア初のヴィーガンアイスクリームが発売されました。地元の食品企業Foodedge Gourmetの小売り部門Melvadosと、スタートアップ企業のPreferが共同開発した製品です。

長期的な協業の第一歩に


新たに発売された「Coconut Latte」アイスクリームは、食品業界から出る副産物を発酵させて作られたPreferの代替コーヒーを使用したもの。この原料がメインに採用された初の小売製品であり、3年目を迎える同社にとって重要なマイルストーンとなります。

2004年に設立されたMelvadosは、シンガポールの食品業界で広く知られるブランドとなり、アイスクリームやケーキから、調理済み食品、調味料、スナックまで多様な製品を販売しています。

今回の提携に向けた交渉は1年ほど前にスタートしていたようですが、Melvadosがハラール認証と生産規模の拡大を求めていたため、Preferは認証取得と施設の拡張を進めてきました。

共同ブランドで発売されたアイスクリームは、Melvadosのウェブサイトのほか、シンガポール全土の13店舗で入手可能です。

Preferの共同創業者でCEOを務めるJake Berberによると、この製品は限定品としての発売ではなく、今後も共同でラインアップの拡大を計画しているとのこと。「この発売は、両社の長期的な協業の最初のステップに過ぎない」と語っています。

食品業界の廃棄原料をアップサイクル


Preferがビーンレスコーヒー生産に用いているのは、余ったパン、豆腐製造の残渣として出たおから、ビール醸造後に残った穀物など。

地元で調達したこれらの原料をアップサイクルして、食品グレードの微生物で発酵させ、その後コーヒー豆と同じように焙煎・粉砕してコーヒー特有の香気成分を引き出します。

Melvadosは、この代替コーヒーにココナッツミルク、砂糖、グルコースシロップ、乳化剤、安定剤を配合して、なめらかで贅沢な口当たりを実現。

最も魅力的なのは、470mL入りで11.99シンガポール・ドル(約1,370円)という価格設定で、同社の製品ラインアップの中では中間の価格帯に位置し、その他11種類のフレーバーとも同等となっています。

Berberは、「当社独自の発酵プラットフォームを活用することで、最大2倍のコスト削減を実現できる。当社の知的財産権のライセンス契約に基づいて自社で生産を行う企業の場合は、伝統的なコーヒーに比べて最大10倍のコスト削減が可能だ」と説明。

いずれの場合も、顧客の原材料コスト削減に貢献しつつ、CO₂排出量を大幅に削減できるため、自然で持続可能なコーヒー風味を求めるブランドにとって、より良い選択肢となります。

コーヒーでも有望視されるハイブリッド製品


Berberは、Preferの代替品が合成コーヒー香料の直接的な競合相手になるとは考えておらず、Melvadosとの共同開発品も従来のインスタントコーヒーパウダーとブレンドしたもの。伝統的なコーヒーとの併用を念頭に設計しているといい、今後さらに多くのハイブリッド用途での使用事例が生まれると予想しています。

ビーンレスコーヒーを手掛けるスタートアップ企業のいくつかはハイブリッド製品に注力しており、昨年日本でも入手可能になったAtomo Coffeeは、自社開発の代替品とミディアムローストのコーヒーを1対1でブレンドした製品を展開。

先日ステルスからの脱却を果たしたベルギーのKoppieも、コーヒーを置き換えることを目的とはしておらず、ロースタリーと協力してハイブリッドブレンドの開発を進めています。

Preferの製品は現在、シンガポール全土の75店舗で取り扱われており、新たな市場への拡大を積極的に進めている最中。年末までに100店舗以上への拡大を目指しています。

参考記事:
Prefer | LinkedIn
Singaporean Bean-Free Coffee Startup Nabs Major Ice Cream Collab
Melvados and Prefer scoop up sustainability with beanless Coconut Latte Ice Cream – Mini Me Insights

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