「Quorn」を展開するMarlow Foodsが2024年の決算を報告、売上高9%減も外食セクターでの成功により損失は半減

マイコプロテインのブランド「Quorn」を展開する英国のMarlow Foodsが、2024年の損益を報告しました。英国と米国での需要減退により売上高が9%減少したものの、損失をほぼ半減させることに成功。外食産業向け事業の伸びが明るい材料となっています。
小売りで後退も、外食市場では成長
「Quorn」と「Cauldron Foods」を保有するモンデ・ニッシン傘下のMarlow Foodsは、2024年の売上高が前年比9%減の1億8,700万ポンド(約379億円)となったと報告しました。
小売り分野で32%のトップシェアを維持している同社ですが、昨年は11%減となり、「生活費高騰に伴う英国・米国市場における代替肉製品の継続的な縮小」が要因と説明されています。
その一方、外食分野で(規模は小さいものの)良い結果が得られたこともあり、全体の税引後純損失は45%近く減少して2,790万ポンド(約56億5,000万円)となりました。この損失額には、事業改革に伴う1,200万ポンドの一時費用が含まれているといいます。
また、親会社であるモンデ・ニッシンから支援を受けた2,700万ポンドが債務の返済に充てられ、バランスシートが改善されたとのこと。とはいえ、同社は過去3年間で1億ポンドを超える損失を出しており、決して余裕のある経営とはいえません。
CFOを務めるNick Cooperは、「代替肉業界が直面している状況を受け売り上げ減となったが、外食市場での成長、損失の大幅減、そしてサプライチェーンの効率化で1,300万ポンド近いキャッシュフローを生み出せたことは明るい側面だ」とコメント。
「2024年は困難な一年となったが、将来にしっかりと照準を合わせている。親会社の支援もあり、今後の道筋には自信を持っている」と話しています。
2025年に入って減少幅は縮小、EBITDAはプラスに
Marlow Foodsは売上高の80%以上を小売り部門に頼っていますが、外食部門での複数の提携が成長を牽引しました。
中でも欧州全域におけるKFCとの取引拡大と、英国のベーカリーチェーンGreggsと行ったキャンペーンの成功により、外食部門の売上高は前年比2.5%増の2,860万ポンド(約57億9,000万円)に到達。
新たに立ち上げた「QuornPro」の好調な伸びと、B2B顧客向けに設立したMarlow Ingredientsの収益増(33%)も要因となっています。
また、昨年は販売数量の減少があったものの、サプライチェーンに係るコスト削減がこの影響を相殺し、調整後売上総利益率は2023年度の0.3%から21%へと上昇しました。
さらに手元資金の強化に注力し、現金残高を約2,100万ポンドにまで増加。「この実績は、高い顧客サービス水準を維持しつつ、在庫削減とサプライチェーンのサイクルタイム短縮によって達成された」としています。
今年に入っては、新たに策定した事業改革計画の下、事業の黒字化と将来の成長に向けた資金創出を目指す取り組みを実施。
すでに売上高の減少は鈍化しており、2025年第1四半期は6%、第2四半期は5%の減少にとどまりました。モンデ・ニッシンからのさらなる追加資本(1,800万ポンド)投入により、2025年度上半期のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)はプラスに転じています。
同社は今月にも、冷凍食品に関する大規模なキャンペーンを始動する計画。テレビ、動画配信サービス、SNS、インフルエンサー、ポッドキャスト、PRを駆使した10週間にわたるミッションで数百万の消費者へリーチし、新規顧客の獲得を図ります。
参考記事:
Quorn Owner Posts 9% Sales Decline, But Cuts Losses by 45% Amid Foodservice Success
“Challenging conditions” impact Quorn Foods owner but turnaround plans brings optimism for the future | Insider Media
Quorn losses total more than £100m in three years | The Grocer
この記事へのコメントはありません。