培養肉を家庭のキッチンに、オーストラリアのVowが培養ウズラ肉のオンライン販売を開始

オーストラリアで唯一培養肉の販売認可を受けているVowが展開する「Forged」ブランドの下、国内向けに初の家庭用製品が発売されました。
家庭で調理できる3種類の製品を投入
オーストラリアで初めて培養肉の販売を認められ一流レストランでの提供を重ねてきたVowが、小売り市場に進出。先週、培養ウズラを用いた燻製スプレッド、フォアグラ、クロケット(コロッケの元になった揚げ物料理)の3製品を、ウェブサイトで数量限定で発売しました。
これによりオーストラリアでは初めて、家庭で購入し調理できる培養肉製品が誕生。消費者が複数の培養肉製品を購入できるのは世界的に見ても初の出来事で、レストランで提供されてきた製品「Cultured Quail Parfait」(培養ウズラ肉にバターや植物由来の原料を混ぜ、パテ状に仕上げたもの)も続けてラインアップに加えられる見込みです。
スプレッドは主原料の無塩バターに、培養ウズラ肉を40%混合。燻製、塩、肉の組み合わせから生まれる濃厚でスモーキーな風味と深いうま味が特徴です。1瓶180g入りで、価格は14.99豪ドル(約1,510円)。
フォアグラは半分以上(51%)が培養ウズラで、ハーブを漬け込んだココナッツオイル、ヒマワリ油、ソラマメタンパク質、コンニャクなどの多様な素材で補完しています。
クロケットはパン粉をまぶした冷凍製品で、30%の「Cultured Quail Parfait」にマッシュポテト、植物油、各種調味料を配合したもの。いずれの製品もVowが本社を置くシドニー大都市圏で先行販売され、追って国内全土に展開する計画です。
年内に生産能力の拡大を見込む
培養に用いるウズラの細胞はシドニーで現地調達され、パン屋や醸造所で行われる発酵と似たプロセスで、成長と増殖に必要な栄養を含んだ培地で培養。79日間で収穫可能な状態となり、培地から分離された細胞はフォアグラなどの食品へと加工されます。
Vowは今年、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)からの販売認可を取得。この承認は、厳格な安全性評価と2度のパブリックコメント募集、食品規制大臣会議を経て、6月に最終決定がなされました。
これに先立ち、2024年にはシンガポールと香港でも販売を認められて複数のレストランにデビューし、200%の月次成長率を記録。本国での認可後はシドニーとメルボルンの計12店舗で提供が始まっています。
生産面では、第2工場の開設により培養能力が35,000リットルに拡大しました。20,000リットル規模という食品グレードでは世界最大級のバイオリアクターを稼働させ、年末までに1回あたり最大900kgの収量を達成して、月産10,800kgまで拡大させられる見込みです。
参考記事:
Vow | LinkedIn
Vow Introduces Australia’s First Home-Ready Cultured Meat Product: Cultured Quail Sprad
In Australia, You Can Now Cook Cultivated Meat at Home


							
							
							
							
							
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