培養肉のタンパク質で、ほかの動物性・植物性タンパク質と比べて高い消化吸収率を確認 —南京農業大学

南京農業大学の研究チームが、新たな研究結果をまとめた査読付き論文を学術誌『Food Chemistry』に発表。

標準化されたin vitro消化モデルを用いて、培養豚肉タンパク質と従来の豚肉、大豆、卵、ホエイ、カゼインの消化動態を比較しました。論文の共同執筆者には、培養肉企業Joes Future FoodのCEOを務めるShijie Dingも含まれます。

結果として、培養肉に含まれるタンパク質は、従来の動物性・植物性タンパク質と比較して消化率が有意に高く、生理活性ペプチドの放出も多いことが示されました。

タンパク質の分解やペプチドの分析を実施


これまで代替プロテインの研究分野では、環境面などの持続可能性や生産規模・技術に重点を置いたものが大半で、培養肉のタンパク質が消化過程でどのように振る舞うかを検証した研究は多くありませんでした。

消化率とアミノ酸利用率は、栄養素が体内でどれだけ効率的に吸収・利用されるかを示すもので、タンパク質の品質に関する主要な指標です。

研究チームは、国際標準となっている消化性試験プロトコルの「INFOGEST 2.0」を用いて、胃と腸における消化を模倣した人工的な環境でタンパク質の分解を評価。その結果、培養豚肉タンパク質は胃の段階で76.77%、腸の段階で88.33%の消化率を記録し、従来の豚肉および本研究の対象に含まれたその他すべてのタンパク源を上回りました。

培養豚肉由来の消化産物には、質量3kDa(キロダルトン)未満のペプチドが最も高い割合で含まれており、酵素加水分解の効率がより高いことが示されています。

LC-MS/MS(液体クロマトグラフ質量分析)では、胃の内容物から3,626種類のペプチド、腸の内容物から1,734種類のペプチドが同定でき、卵白、ホエイ、カゼインで検出された数を上回っていました。

さらに、培養豚肉ではペプチドの多様性に加えて、消化に伴う総アミノ酸および必須アミノ酸の放出量が有意に多いと判明。必須アミノ酸は食事を通して摂取する必要があり、タンパク質の栄養価を評価する重要な指標です。

生体内で再現する追跡調査に期待


培養豚肉が異なる挙動を見せた理由を解明するため、研究チームはタンパク質の構造と消化環境の分析を行いました。

分光法による解析では、酵素切断部位へのアクセス性を高める構造的特徴がタンパク質に認められたとのこと。また、培養豚肉の消化過程が消化環境を変化させ、酵素活性をさらに促進する方向へ作用していることが示唆されています。

ほかのタンパク質の既知の挙動と比較すると、ホエイタンパク質は比較的単純な構造ゆえに通常は速やかに消化される一方、カゼインはミセルのネットワークを形成してアミノ酸の放出を遅らせます。また、大豆などの植物性タンパク質には、消化率を低下させる抗栄養素が含まれる場合があります。

これらを考慮したとき、培養豚肉は既存の動物性・植物性タンパク質と同じではない、独自の消化経路をたどるように見えたとされました。

代替プロテイン業界のシンクタンクThe Good Food InstituteElliot Swartzは、培養肉に対する一般的な批判として、ほかの食品と比較した場合の栄養価や消化率に関する知見の不足が挙げられてきたと説明。「私の知る限り、同種の研究としては初めてとなる今回の調査で、培養肉の高い生体利用率が示された」とコメントしました。

結果の解釈には慎重であるべきで、「生体内(in vivo)での再現が必要であり、一般化できる可能性には限界もある」としつつも、本研究は「興味深い知見」だと述べています。

参考記事:Cell-cultivated meat protein shows digestibility gains in new Food Chemistry study | PPTI News

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。