Nutrecoが培養肉生産に用いる食品グレード粉末培地の専用工場を開設

家畜飼料や水産飼料の分野で業界をリードするオランダのNutrecoが、細胞農業専用の粉末培地を生産する工場の開設を発表しました。

初めのバッチ生産に成功


オランダ南部のボクスメールに位置するこの施設はすでに運転を開始。培養肉生産用に特別に開発された、アミノ酸、ミネラル、ビタミン、グルコースなどからなる食品グレードの粉末状基礎培地を生産しています。

Nutrecoによると、同社のチームは最初のバッチで50kgの生産に成功。供給先となる培養肉企業の成長に合わせて規模を拡大していき、週に数百kgを生産する計画です。

培養肉業界はこれまで、医薬品グレードの高価な原料や倫理的な問題を抱えたウシ胎児血清(FBS)に依存して製品開発を行ってきました。

しかしながら、培地コストの高さは培養肉の商業化を妨げる大きな要因となっており、有効な代替品を見つけて倫理的な低コスト生産を達成することが、今後の展開において欠かせないピースとなっています。

この課題解決に向けた主な動きとしては、米国のOmeatが昨年、FBSの代替となる製品「Plenty」のB2B供給を開始

英国のバイオテクノロジー企業Multusは、今年初めに世界初となる無血清培地の大規模生産工場を開設し、受託生産も可能な体制を整えています。

細胞農業界でパートナーシップを強化


Nutrecoは、細胞農業界では米国のBlueNaluとオランダのMosa Meatに対して投資や提携を行っており、細胞ベースの製品とアニマルフリーの培地開発におけるアドバイザーを務めています。

BlueNaluとは、培養シーフード向けに特化した培地サプライチェーンの確立と規模拡大のため、さまざまな形で協力を実施。一方、Mosa Meatとは、培地を食品グレードのアミノ酸に置き換えることでコスト削減に成功しました。

Nutrecoの代替プロテイン事業責任者を務めるSusanne Wiegelは、「開発フェーズにある細胞農業の最大の課題の一つは、タンパク質を作り出す細胞にいかにコスト効率よく、持続可能かつ大規模に栄養を供給するかということだ」とコメント。

「この産業は、増加する世界人口に食料を供給するという課題に対する解決策となり得る。サプライヤーやソリューションプロバイダーとなることで、この業界の成長を支援したい」と語っています。

参考記事:
Nutreco Opens New Facility Dedicated to Food-Grade Cell Feed for Cultivated Meat
Nutreco champions protein production from varied sources
Nutreco opens cell feed production facility for cell-based meat in ‘world-first’ | The Cell Base

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