英国の新制度下で、畜産農家は肉の生産量を減らすことで収益を増やせる可能性 —英Green Allianceレポート

英国のシンクタンク、Green Allianceが新たな研究結果をまとめたレポートを発表しました。英国の食肉生産が縮小する中、畜産農家は肉の生産量を減らして環境改善に取り組むことで、収益性を高められる可能性があるとされています。

空いた場所と時間を使った環境改善活動を支援


牛肉や羊肉を生産する放牧農場は、投入コストの上昇と気候変動の影響増大という二重の圧力に直面。足元では収益の確保に苦戦しており、政府の支援策に頼らざるを得ない状況です。

英国では、58%の人が肉類の摂取量を減らす努力をしており、過去20年間で赤肉の摂取量は8%減少しました。牛肉および羊肉の生産は2000年以降赤字となっていますが、旧来の欧州連合(EU)の農家支援制度に基づく支払いのおかげで、畜産農家は依然として収益を上げられています。

ただし、EUの共通農業政策(CAP)で導入されたこの「基本支払い制度(Basic Payment Scheme:BPS)」と呼ばれる支援策は2027年に終了し、持続可能な農業慣行の推進に応じて報奨を与える英国の環境土地管理スキーム(ELM)に置き換えられる予定。

Green Allianceのレポートは、この新制度の下、畜産農家は肉の生産を減らして環境改善活動(生物の生息地創出や泥炭地の回復など)のための場所と時間を増やすことによって、収益性を向上させられると指摘しています。

公正な移行を意図した政府の適切な支援策があれば、家畜の頭数を減らし、消費減少に合わせて生産量を調整することで、農家が収益を得る機会が拡大すると主張。

また同時に、「農家が野生動物の回復や水質改善、洪水防止に貢献すれば、国民全員が恩恵を受けられる」と提言しています。

農場の無秩序な拡大防止には一定の規制も必要に


分析によると、英国人の牛肉消費量は20年前と比べて14%、豚肉は同13%減少。その一方で、生産量はいずれも増加の一途をたどっています。

羊肉の消費量も44%減少し、これは生産量の減少速度の8倍の速さ。鶏肉に関しては、消費量に7%の増加は見られるものの、それでも生産量が消費量を上回っています。

Green Allianceは、これらの農場は利益を追求する中で拡大を続けることから、健康と環境に及ぼす悪影響を軽減するには規制が必要だと指摘しました。そして、こうした政策には、輸入の増加や気候影響のオフショアリング(外部移転)を避けるため、消費量の削減が欠かせません。

英国の国民保健サービス(NHS)は、がんや心臓病のリスクを下げるため、赤肉と加工肉の摂取を制限するよう推奨。また、気候変動委員会(CCC)は、同国のネットゼロ目標達成に向けて、2050年までに肉と乳製品の消費量を50%削減するよう求めています。

政府の食料戦略としては、人々が手頃な価格の植物性食品を豊富に取れるよう努め、食肉消費量の国内生産量よりも速いペースでの減少を確実なものにするべきとGreen Allianceは提言。

加えて、食料生産と農場の収益性が低く、公共財を生み出せる可能性が高い地域へELM制度の支出を誘導するための、土地利用枠組みの導入を要請しています。

全国農業者組合(NFU)の副代表David Exwoodは、「競争力と収益性を向上させる政策を期待したい。そのような政策は、成功するレジリエントな農業経営の重要な要素であり、環境目標と政府の経済成長目標の達成にも不可欠だ」とコメントしました。

参考記事:
Livestock Farmers Could Earn More Money by Producing Less Meat: Study
Livestock farmers could boost profits with shift towards environmental work, finds Green Alliance | Morning Star

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