代替油脂開発のÄIO、CDMOの活用で生産量1万リットルのマイルストーンを達成

エストニアに本社を置くフードテック企業のÄIOが、精密発酵油脂の生産規模を、商業生産レベルの1万リットルにまで拡大することに成功したと発表しました。
シンガポールのCDMOと提携し、生産を拡大
ÄIOは、過去1年間にラボスケールからパイロットスケールの生産へと規模を拡大させ、このたび節目となる1万リットルの大台に乗せました。
生産にあたり同社は、発酵専門の開発製造受託(CDMO)サービスを提供するシンガポールのScaleUp Bioと提携しています。
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)と、シンガポールの投資会社Temasekとの合弁で設立されたScaleUp Bioは、精密発酵脂肪を開発するオーストラリア企業Nourish Ingredientsとの間で、2023年に最初の契約を締結。
2024年5月にはシンガポール食品庁(SFA)からの食品製造ライセンスを取得し、最大1万リットルの発酵サービスと下流工程の加工能力を提供するパイロットプラントを稼働させていました。
ÄIOはまた、自社でデモ生産施設の建設も計画しており、昨年9月に610万ユーロ(約9億7,900万円)の資金調達を行っています。
欧州で新規食品申請を準備
ÄIOは、おがくずや農業残渣などのリグノセルロース系バイオマスを、高付加価値の脂質に変換できる特殊な酵母株を利用。循環型経済の構築に寄与し、熱帯林伐採など地域コミュニティを脅かす恐れのあるパーム油に代わる、持続可能な代替油脂を生産しています。
1万リットルへのスケールアップとともに同社は、発酵の収率を48%、下流工程でのタンパク質回収率を60%改善し、生産効率を大幅に向上させました。
これらの進展により、実社会での応用に向け欧州食品安全機関(EFSA)への新規食品(Novel Food)申請を行う準備が整ったとのこと。今回生産したロットを用いて申請書の作成を進める傍ら、すでに後続の生産バッチにも取り掛かっています。
共同創業者でCEOのNemailla Bonturiは、「スケールアップといってもただ生産量を増やすことにとどまらず、当社の技術が真の違いを生み出せることを検証できた」とし、このマイルストーンの持つ大きな意味を強調しています。
参考記事:
Äio scales fermentation-based fat and oil production to 10,000 litres | FoodBev Media
ÄIO achieves major milestone with 10,000-liter production of sustainable fats and oils | PPTI News
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