スペインの学校で植物性メニューの提供が義務化、貧困層で顕著な小児肥満を減らす一手に

スペインの内閣で新法「Royal Decree on Healthy and Sustainable School Cafeterias」が承認されたことに伴い、学校で提供される食事のメニューが大きく変わる運びとなりました。
社会的公平性と機会均等を保証し、未成年者が生涯にわたって健康的な食習慣を身に付けられるようにする意図があります。
すべての子供に週5回の健康的な食事を保証
このイニシアチブの目的は、国公立・私立の学校生徒が、世界保健機関(WHO)またはスペイン食品安全栄養庁(AESAN)の基準に準拠した、栄養価が高くバラエティに富んだ食事を利用できるようにすること。
家庭の収入状況にかかわらず、すべての子供に週5回の健康的な食事が保証されます。豆類の消費量も増やすよう定められ、科学機関の推奨に沿った一週間の摂取量が設定されました。
同法ではまた、国内の農家と環境に対するメリットを生むため、食堂のあるすべての学校で(理想的には地元で生産された)生野菜や果物を毎日提供し、提供される農産物の45%以上を季節のものとすること、5%はオーガニック認証品とすることを義務付け。
さらには、糖分が5%を超える飲み物の提供が禁止され、カフェイン、脂肪、塩分の割合にも制限が課されました。食堂や校内の自動販売機からは、砂糖入りの食品やエナジードリンクが姿を消し、揚げ物や調理済み食品は制限されます。
貧困層に多い小児肥満の削減が目的に
政府はこれらの施策により、貧困層の子供たちに特に大きな影響を及ぼしている小児肥満への対策に役立つと期待。
最新のデータによると、年収18,000ユーロ(約290万円)未満の家庭の子供の2人に1人は、毎日新鮮な食品を十分に食べたり、朝食をしっかり食べたりする余裕がないため、太り過ぎになっているといいます。
AESANが2023年に行った調査では、37%の学校で生野菜が週に2回以下しか出されておらず、対して多くの学校で揚げ物が推奨限度よりも多く提供されていました。
新しい規制はさらに、包装やプラスチック廃棄物の無駄を減らす、より持続可能・効率的・合理的な消費モデルを促進するとのこと。植物性食品の割合の上昇と併せて、環境へのプラスの影響を追求する目的です。
ProVeg SpainのVerónica Larcoは、この新法により「子供たちが植物ベースの食事のメリットについて学べるようになるだろう」と指摘。
ProVeg Internationalが英国やドイツの機関と協力して進めてきた「School Plates」運動に言及して、「このプログラムは質の高いメニューを開発するだけでなく、コストの削減など、数え切れないほどのメリットが得られることを実証している」と可能性を示しています。
参考記事:
La Moncloa. 15/04/2025. El Gobierno garantiza que los comedores escolares ofrezcan cinco comidas saludables a la semana [Consejo de Ministros/Resúmenes]
Plant-Based Menus to Be Available at Spanish Schools as Government Approves Healthy & Sustainable Cafeterias Decree
Schools in Spain required to serve fruit, vegetables and fish in fight against obesity | Spain | The Guardian
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