Believer Meatsが米国農務省(USDA)の認可を取得し、培養鶏肉の販売が可能に

イスラエルの培養肉企業Believer Meatsが、米国農務省(USDA)による審査を完了し、国内での培養鶏肉の生産・販売に関する正式な認可を取得したと発表。同種の認可を得た企業として、米国以外では初のスタートアップ企業となりました。
今年だけで3件目の認可取得が実現
Believer Meatsは、7月に米国食品医薬品局(FDA)からの「異議なし」レターを取得していました。米国での市販化には、FDAによる安全面の認可に加えて、生産施設と製品のラベル表示に関するUSDAの審査が必要となりますが、同社は3カ月余りで無事にUSDAの承認を得て規制上の手続きを完了。
今年認可を受けた企業としてはWildtype(培養サーモン)とMission Barns(培養豚脂肪)に続く3件目となり、米国企業以外では初の事例を作りました。
生産施設の審査は、今年初めにノースカロライナ州で竣工した世界最大の培養肉工場(生産能力:年間12,000トン)に対して行われたものです。
CEOのGustavo Burgerは具体的な製品投入計画は明かしていませんが、SNSへの投稿で「米国での培養鶏肉製品の商業生産および発売と、国際市場への輸出が認められた重要な節目」と評しています。
禁止措置にかかわらず、市場化に成功した例も
2018年にエルサレム・ヘブライ大学の生体医工学教授Yaakov Nahmiasによって設立されたBeliever Meatsは、遠心分離を用いた灌流培養と培地の再利用プロセスを用いて培養肉を生産しています。
培養には、家禽の受精卵から採取し自然に不死化させた線維芽細胞を使用。無血清培地での増殖に適応させたものを細胞バンクに保存しています。
バイオリアクターでの培養後に培地からろ過し、食塩水で洗浄して回収された材料は培養鶏線維芽細胞と称され、組成と栄養特性において従来の鶏肉に類似。このバイオマスを植物由来の原料と混合して、押出成形で鶏胸肉のような完成品に仕上げます。
昨年、1リットルわずか0.63ドル(約97円)に抑えた低コストのアニマルフリー培地も導入し、従来の食肉と同等価格の実現という課題に向けて大きく前進しました。
同社は技術革新により、5万リットル規模で生産した際のコストを1ポンドあたり6.2ドル(キロ単価約2,100円)まで引き下げられると予測しており、これは従来のUSDAが認証するオーガニックチキンの小売価格と同水準です。
米国内では今年、培養肉の禁止措置に踏み切る州も複数見られた中、規制面では画期的な一年に。培養肉の販売を許可された企業はBeliever Meatsが5社目となり、前述したWildtypeは複数の州のレストランで一般提供を実施中。Mission Barnsは今月1日、カリフォルニア州の食料品店で数量限定での小売り販売を行いました。
参考記事:
Gustavo Burger | LinkedIn
Believer Meats Secures USDA Approval to Begin Sales of Cultivated Chicken
Believer Meats’ Large-Scale Cultivated Meat Facility Cleared for Operation by USDA


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