南アフリカのImmobazymeが、培養肉の低コスト化を助ける成長因子の生産を50リットル規模に拡大

南アフリカの精密発酵企業Immobazymeが、政府系研究機関との協力により、培養肉のコスト削減に不可欠な成長因子の生産規模拡大に成功しました。
高価な成長因子の低コスト生産&大量供給へ
この成果は、南アフリカ科学技術・イノベーション省(DSTI)傘下の科学産業研究評議会(CSIR)とImmobazymeの間で進められてきた共同研究によるもの。両者は国内で初めて、培養肉用の線維芽細胞増殖因子2(FGF-2)を50リットルのバイオリアクターで生産することに成功しました。
CSIRに所属するバイオテクノロジーの専門家Veshara Ramdasは、「これはCSIRにとって大きな成果であり、特に線維芽細胞増殖因子やインスリン様成長因子など、その他の独自の新規技術を国内で開発する道も開くだろう」と述べています。
Immobazymeは、哺乳類細胞の増殖を促すタンパク質であるFGF-2を生産するための遺伝子組み換え細菌株を携えて、CSIRにアプローチしました。FGF-2のような成長因子は、肉の成長を誘導・維持する目的で培地に添加されるものです。これは培養肉生産において不可欠ですが、従来は非常に高価で、培地コストの大部分を占めていました。
CSIRのチームは、微生物学とバイオリアクターに関する専門知識を用いて、Immobazymeの生産プロセスをスケールアップするための効率的なプロセスを構築。Immobazymeの遺伝子組み換えを施した大腸菌のみが標的タンパク質と共に培地中で増殖するよう、安定した無菌環境を確立しました。
培養はシャーレで開始され、最適な栄養素を含むフラスコで増殖させた後、温度や栄養レベルなどのパラメータを厳密に制御したバイオリアクターへと移されます。
バイオリアクターから培養液を回収すると、大腸菌が生成したFGF-2を取り出すため、機械的な処理によって大腸菌の細胞を破砕。遠心分離にかけて、上層の透明な液体中に残ったFGF-2を抽出し、精製して純粋なタンパク質粉末を得ます。
さらなる提携強化と生産拡大を目指す
上述の規模拡大プロセスは、バイオものづくり産業開発プログラムの一環として、DSTIと技術イノベーション庁(TIA)からの資金援助を受けて進められました。
Immobazymeの共同創業者でCCO(最高商業責任者)を務めるNick Enslinによると、CSIRとの連携を通じて得られた産業に関する知見と経験は、同社の事業にとって非常に貴重なものだったとのこと。パイプラインにあるほかのタンパク質や製品とともに、FGF-2のさらなる生産拡大を目指して、今後もCSIRの大規模施設を活用していく予定だとしています。
CSIRのRamdasは、「独自に開発した技術をベースにFGF-2を費用対効果の高い方法で生産できたことで、Immobazymeは国際的に入手可能なソリューションと比較しても競争力のある地位を築けている」と述べました。
培養肉は南アフリカではまだ黎明期の産業であり、Newform FoodsやWildBioといったスタートアップ企業が数社存在するのみ。ただし、アフリカ大陸全体では2050年までに人口が倍増近い25億人に達すると予測され、それに伴い食肉需要も増加が見込まれています。
地域内の多くの国にとって食料安全保障が大きなリスクとなっている中、培養肉は、このリスクを低減して地域の需要を満たすのに役立つ可能性があると期待されています。
参考記事:
CSIR upscales growth factor production for local biotechnology firm | CSIR
SA biotech start-up makes strides to lower the costs of cultivated meat
South African Startup Scales Up Growth Factor for Low-Cost Cultivated Meat
South Africa cracks cultivated meat’s costliest ingredient in 50-litre bioreactor first


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