世界初の代替シーフード協会「Future Ocean Foods」が始動、水産業界にもたらす変革に期待
米国、英国、イスラエル、シンガポールなど14カ国・36社からなるメンバーで構成される、世界初の代替シーフードの業界団体「Future Ocean Foods」が発足しました。
代替シーフードのリーダー企業が結集
同団体は、植物性食品・細胞培養・微生物発酵のカテゴリーにまたがり、食料安全保障・健康・持続可能性・海洋保全を目的とした企業が集まって結成されました。
創業メンバーは、AQUA Cultured Foods(米国)、Konscious Foods(カナダ)、Sophie’s Bionutrients(オランダ)、Hooked Foods(スウェーデン)、Revo Foods(オーストリア)、Oshi(イスラエル)、Umami Bioworks(シンガポール)など36社。
ダイバーシティ&インクルージョンに重きを置いており、メンバー企業のうち40%が女性起業家により創業されています。
代替シーフードは、比較的新しくはありますが急成長を遂げている産業であり、世界的なタンパク質需要の高まりが直面する重要な課題の解決に貢献しています。
Future Ocean Foodsのメンバー企業は、世界有数の食品・気候関連の投資家から多額の資金調達を行っており、すでに大手シーフード企業と協力し、持続可能な食の新たな選択肢を生み出しています。同分野への投資総額は2021〜22年にかけて92%増加し、米国における小売売上高は同期間に42%増加しました。
主導的な3団体とのパートナーシップを締結
団体の創設者でありエグゼクティブディレクターを務めるMarissa Bronfmanは、「代替シーフードにより、美味しくて栄養価が高く、持続可能かつ倫理的なフードシステムを構築することが可能になる。先見性のある先駆的な企業同士で協力し合い、水産業界に革命を起こしたい」とコメントしています。
Future Ocean Foodsの野心的な計画には、世界中のステークホルダーを結束させ知識の共有と協業を促進すること、代替シーフードがもたらす利点についての一般の認識を深めることなどが含まれています。また、タンパク質とオメガ3脂肪酸* に焦点を当てた、栄養価の高い代替シーフードの普及にも努めます。
Future Ocean Foodsは、世界中に支部を持ち代替プロテインの推進活動を行う非営利のシンクタンク、The Good Food Institute(GFI)と提携。2040年までに動物由来製品の50%を植物ベース・培養ベースのものに置き換えるという目標を掲げる食品啓発団体、ProVeg Internationalとも戦略的パートナーシップを締結しました。
また、GOED(Global Organization for EPA & DHA Omega-3s)ともパートナー関係を結び、代替シーフードの普及を通じた良質なオメガ3脂肪酸の消費拡大に取り組みます。
生物多様性の喪失を食い止める
今まさに正念場を迎えている、既存の水産業界。世界の気候変動の真っただ中にあって、海洋は大きな危機に直面しており、このままでは2048年までに世界の漁業は完全に崩壊するとも予測されています。
海洋の温暖化や酸性化、藻類の繁殖、サンゴの白化、水銀やマイクロプラスチックによる汚染、乱獲・混獲といった甚大な問題が、海洋における生物多様性の急速な喪失を招き、国際的な食料供給を脅かすように。
世界の水産業は2030年までに7,000億ドル(約103兆円)を超えると試算されていますが、天然魚や養殖魚のみではこの需要を満たすことは不可能でしょう。2050年代には世界人口が100億人の大台に達すると予測される今、持続可能な代替タンパク源を創出・拡大する必要性は、かつてないほど切迫したものとなっています。
* 脂肪の構成要素である脂肪酸のうち、不飽和脂肪酸の一種(EPA、DHAなど)。生活習慣病の予防に効果があることが示唆されている。
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