ジェフ・ベゾスのアース・ファンド、持続可能なタンパク質の研究センター設立に90億円超を拠出
アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが100億ドル(約1兆5,200億円)の資金を拠出し、2020年に設立したベゾス・アース・ファンド(Bezos Earth Fund)が、代替プロテイン関連の研究を行う「Bezos Centers for Sustainable Protein」の設立に6,000万ドル(約90億9,000万円)を拠出すると発表しました。
持続可能な食料生産へのコミットメント
今回の発表は、農家を支援し、持続可能な方法で食料生産を拡大するために10億ドル(約1,520億円)を投じるとしたコミットメントの一環として行われるもの。
この第一弾として、昨年12月にドバイで開かれた国連気候サミットCOP28では、気候変動と生物多様性喪失の脅威に対処し、食料安全保障を維持するための助成金として5,700万ドル(約86億4,000万円)を充てることを決定しており、今回の発表はこれに続くものとなります。
国連食糧農業機関(FAO)が算出している最新のデータでは、畜産が世界全体の排出量に占める割合は、11.1〜19.6%。これに比べて、植物性代替肉や培養肉の方がはるかに地球に優しいという事実は、COP28の期間中に国連環境計画(UNEP)が発表したレポートの中でも示されたとおりです。
しかしながら、食肉の業界団体が支援する誤った情報を流すようなキャンペーン、物価高騰に伴う生活コストの上昇、加工の多い食品への懸念により、多くの消費者がこうした代替食品から遠ざかっていることで、2022年ごろから売上が低迷。ベンチャーキャピタルからの資金調達も昨年は半減しました。
このような状況下ですが、世界でも有数の富豪の一人が代替プロテインを支持しているという事実は、業界の持つ大きな可能性の表れといえるでしょう。
代替肉をより安く、美味しく、健康的に
ベゾス・アース・ファンドの副理事長を務めるLauren Sánchezは、フロリダ州マイアミで開催されたカンファレンス「Aspen Ideas: Climate」に登壇し、「気候変動から抜け出す方法を発明し、私たちの未来のための解決策を見つけるべく技術の進歩を追求することが必要だ」と語りました。
「Bloomberg」の報道によると、新しいセンターは複数の大学と連携し、今後5年間で設立される予定。科学技術の発展により、代替プロテインのコスト削減、品質向上、栄養価改善に向けた主要な技術的障壁を取り除くことを目指しています。
同ファンドはこれまでに、代替プロテイン界のパイオニアであるチリのユニコーン企業NotCoにも投資を実施。NotCoは米国でクラフト・ハインツとの合弁事業を展開しており、子会社のオスカー・マイヤーは今月、植物由来のソーセージを用いた2種類の製品「NotHotDogs」と「NotSausage」を発売すると発表しました。
ベゾスは個人としても、バイオマス発酵によりクリームチーズやヨーグルトを製造するNature’s Fyndに投資。また、業界のシンクタンクであるThe Good Food Instituteと提携し、代替プロテインの研究開発プロジェクトに550万ドル(約8億3,400万円)を供与したこともあります。
参考記事:
Jeff Bezos Backed-Philanthropy Donates $60 Million To Improve Fake Meats, Proteins
Centers for Sustainable Protein: Bezos Earth Fund to Invest $60M for Tastier, Cheaper & Healthier Alt-Protein
* 2024.06.19追記:5月末、ノースカロライナ州立大学に最初のセンターが設置されました。カーギルやジボダンなど大手のほか、Believer MeatsやWild Earth、Jellatechなどのスタートアップ企業が提携しています。
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