Mush Foodsが精肉店Pat LaFriedaとの提携で、菌糸体をブレンドしたバーガーパティを米国全土へ展開
菌糸体ミートのスタートアップ企業Mush Foodsが、米国の精肉店Pat LaFrieda Meat Purveyorsと提携し、菌糸体原料「50Cut」と牛肉をブレンドしたバーガーパティを発売しました。
進出から数カ月で、米国全土で展開へ
イスラエルで創業したMush Foodsは、シイタケやヒラタケ、エリンギなど数種類の菌糸体を使用した「50Cut」を開発し、今年1月に米国の外食産業への進出を発表していました。
米国・ニュージャージー州に拠点を置くPat LaFriedaは、バーガーパティを専門とする食肉卸売業者で、シェイクシャックやMinetta Tavernなど、ニューヨークの数多くのレストランに食材を供給。
オーナー兼CEOのPat LaFriedaは、Mush Foodsのパティを試した後、その美味しさに感銘を受け提携を望んだようで、「これは栄養価を高め、地球環境にも優しく、美味しいハンバーガーを作るという願いをすべて叶えてくれるものだ」と語っています。
今回の提携により、菌糸体と牛ひき肉を同じ割合でブレンドした6オンス(約170g)のパティ「50CUT Burger」を発売することとなり、Pat LaFriedaが供給する全米の1,600を超えるレストランなどで提供されます。
牛肉をあらゆる面からアップグレード
牛肉は地球上で最も排出量の多い食品であるため、ハンバーガーに使用する量を半分にすることは、レストランのカーボンフットプリント削減に大きく貢献するもの。
Mush Foodsの菌糸体は、アップサイクルした農業由来の食品廃棄物を栄養分に栽培しており、わずか8日間で成長させることが可能。地元のキノコ農家と協力し、短い栽培期間で高収量を実現しています。
50Cutは必須アミノ酸をすべて含む完全タンパク質で、カリウム、鉄分、カルシウムに加えて、従来の牛肉に欠けていた食物繊維(β-グルカンなど)も含有。調味料、結着剤、保存料などの添加物を一切使用していないクリーンラベル製品です。
先月ニューヨーク市内で行われた試食会では、参加したシェフのFranklin Beckerが「目隠しをして食べたら牛肉だと思っただろう」と語ったことが、『The New York Times』紙でも伝えられました。
従来の肉の味と食感を保っているだけでなく、菌糸体によってキノコ特有のうま味が加わり、風味を高めるという外食市場の重要なニーズに応えることができるのも魅力です。
さらに特筆すべきは価格で、50CUT Burgerは100%の動物肉よりも安い価格を実現。Mush Foodsの共同創業者でCEOを務めるShalom Danielは、「環境面では驚異的な製品があっても、コスト面でも優れていなければ成功には至らない。この製品は業界のゲームチェンジャーとなると信じている」と語りました。
食卓から肉を減らすハイブリッド製品
昨年、シードラウンドで620万ドル(約9億6,000万円)の調達を行ったMush Foodsは、創業の地イスラエルで「meat-plus」シリーズをデビューさせました。これに続き米国で展開する50Cutでは、牛肉、鶏肉、豚肉、魚に合わせて菌糸体をブレンドした製品群を導入。
B2C事業の計画はなく、「小売りの流通契約やブランディングに労力を費やさず、食品企業が手軽に導入できるような製品を開発する」としています。
食卓から肉を減らすことを目的にハイブリッド肉製品を開発する同社のアプローチは、近年採用するスタートアップ企業が増加。
ロサンゼルスを拠点にディズニーランドにも進出している50/50 Foodsや、ここ何年も順調に業績を伸ばし続けているPhil’s Finest(旧称:Misfit Foods)、今月米国の外食市場に参入したオーストラリアのHarvest Bなどがあります。
参考記事:The 50CUT Burger: US Butchery Pat LaFrieda Embraces Blended Meat with Mush Foods Partnership
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