ソラマメから代替チョコレートを生産する英Nukoko、原料大手Döhlerとの提携を実施
カカオフリーのチョコレートを開発する英国のスタートアップ企業Nukokoが、規模拡大と製品展開に向け、食品・飲料向け原料大手の独Döhlerと戦略的提携を行ったと発表しました。
気候変動に強い代替チョコレートの開発が加速
今年、異常気象が2大生産地であるコートジボワールとガーナの作物を壊滅させた影響で、カカオ価格は記録的な高値を付けました。
この問題に対処するため、フードテック分野の数々のスタートアップ企業が、ヒマワリの種、キャロブ、オーツ麦など、頑丈でCO₂排出の少ない作物を使って気候変動に強い代替チョコレートを作ろうと、新たな解決策を模索しています。
その中の一つであるNukokoは、英国で年間740トンが収穫されるソラマメを、チョコレートメーカーがカカオ豆を処理するのと同じ方法で発酵させ、チョコレートの代替品を完成させました。
食品製造や発酵に知見を有するDöhlerの支援を得て、規模拡大と製品の市場投入を加速させたい考えです。現在500キロのバッチ生産を行えるパイロットプラントを保有していますが、来年には月産数千トンの生産能力へと拡大させる計画。
製品化の面では、当初は英国とEUに焦点を当て、B2Bの原料サプライヤーとして代替ミルクの供給から始める予定だとしています。
環境にも健康にも良い代替食を実現
Ross Newton、Kit Tomlinson、David Saltが2022年に設立したNukokoは、英国をはじめEUで広く栽培されている丈夫な被覆作物(休閑期に土壌の侵食や雑草の発生を防ぐ目的で植える作物)であり、窒素固定、土壌の健康促進、肥料の削減といった効果が見込めるソラマメを使用することにしました。
制御された発酵プロセスの後、乾燥、焙煎、粉砕してあらゆる種類のチョコレートに使用可能なカカオパウダーに加工します。
こうしてできた代替チョコレートは排出量を90%削減できるほか、タンパク質と繊維質を多く含み、砂糖含有量は40%カットした、環境にも健康にも良い食品となっています。
砂糖の削減による味への影響はないといい、これはソラマメにカカオと同様のビシリンと呼ばれる種子貯蔵タンパク質(種子の発芽に必要な栄養素を貯蔵するタンパク質)が含まれており、ビシリンが分解されてペプチドがローストされると、チョコレートのような風味が残るためと推測されています。
同社はまた、必ずしもソラマメの調達に依存しない柔軟でスケーラブルな技術を確立しており、Newtonは「アジアなどの他地域に進出する際には地元産の豆を使用する」と話しています。
このアプローチはフードテック業界で一定の評価を得ており、NukokoはForward Foodingが選ぶ「2023 FoodTech 500」リストに名を連ねたほか、スイスで2,500店以上を展開する小売り大手のコープなどとも開発契約を結んでいます。
参考記事:
Döhler Backs Fava Bean Chocolate Maker As Climate Change Eats Up Cocoa Crops
Döhler invests in Nukoko to scale ‘world’s first’ cocoa-free chocolate | The Cell Base
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