米New Culture、L.A.の有名ピッツェリアへアニマルフリーのモッツァレラチーズを提供

New Cultureの植物性モッツァレラチーズが来年、ロサンゼルスの有名店Pizzeria Mozzaにデビューする予定と発表されました。発売されれば、アニマルフリーのカゼイン(チーズ特有の伸びを生む乳タンパク質)を含んだ初の製品となります。

モッツァレラチーズに100%注力


New Cultureの植物性チーズに含まれるカゼインは、精密発酵によるもの。酵母などの微生物の遺伝子に改変を施して、発酵によりカゼインを作るようデザインしています。

創業者でCEOのMatt Gibsonは、「カゼインは精密発酵を使って作るのが非常に困難だが、当社では数々のブレークスルーを達成し、相当量の生産に成功した。モッツァレラはカゼインに依存しているため、当社はモッツァレラに100%注力する唯一の企業といえる」とも語っています。

代替乳製品のパイオニアである米Perfect Dayが開発し、牛乳、チョコレートバー、アイスクリームなどに配合されている精密発酵による乳清(ホエイ)タンパク質と同様、New Cultureは自社のカゼインがチーズ製造に適しているとしています。

味の改善が課題だった植物性チーズ


売上にわずかな減少が見られる、植物性チーズのセグメント。SPINSのデータによると、2022年の米国における植物性チーズの売上高は2億3,000万ドル。前年と比較すると、売上高は1.7%、販売点数は5%減少しています。また、植物性チーズの世帯普及率は、わずか5%にとどまりました。

調査によると、消費者は植物性チーズのコンセプトに興味を持ってはいるものの、肝心の味を好むまでには至っていないようです。米Plant Based Foods Association(植物性食品協会)とデータ分析企業の84.51ºによるレポートでは、73%の消費者が、よく溶けてきめが細かく、より美味しい植物性チーズを求めていることが示されました。

New Cultureの製品は、この解決策となる可能性があります。昨年、サンフランシスコ・クロニクル紙のフードライターは、同社のチーズをピザに乗せて食べ、「本物のチーズとほとんど見分けがつかない」と絶賛*1

「米国料理界のアカデミー賞」とも評されるジェームズ・ビアード賞を受賞した経歴を持ち、Pizzeria Mozzaを経営するNancy Silvertonも、「New Cultureのチーズを試食したときからその完全性に驚かされ、当店の基準に沿っていると感じた」と語りました。

フードサービスに初進出


伸びるチーズといえば多くの人がピザを思い浮かべることから、CEOのGibsonは、まずピッツェリアへの参入を視野に入れていたといいます。

2016年、植物性代替肉のImpossible Foodsが、David Changの経営する「Momofuku Nishi」で初めてハンバーガーを発売。その後、市場への浸透が進み、街中の食料品店で消費者向けに販売されるようになる頃には、同社は配合を改良し、製造規模を拡大させることに成功していました。

New Cultureも同じ戦略を採り、まず品質に定評のある有名レストランからスタートすることで、ほかのレストラン、最終的には小売店へと提供を広げていく考えです。

*1 https://www.sfchronicle.com/food/article/bay-area-tech-vegan-meat-alternative-17046937.php

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