米Climax Foods、データサイエンスとAIを駆使した植物性カゼインを発表
米・サンフランシスコに拠点を置くClimax Foodsが、カゼインタンパク質の機能性、中でも溶け具合と伸びを再現した新たな植物性プロテインを発表しました。
乳製品の複雑さを再現
カゼインは、チーズ、ヨーグルト、クリームなど、あらゆる乳製品におけるテクスチャーや安定性に深く関わっており、チーズに特有の伸びも生み出す乳タンパク質。
Climax Foodsによると、既存の植物性チーズは、油とデンプンの混合物が多く、栄養、食感、機能の点で従来のチーズからは遠いものとなっているのが現状。
また、精密発酵を用いた代替品の開発についても、カゼイン代替品の製造を目指す複数の企業に15億ドル(約2,000億円)を超える資金が投じられてきたにもかかわらず、スケーラビリティや規制の面で重大な問題を残しているといいます。
同社では、データサイエンスとAIを活用して、植物由来成分の可能性を最大限に引き出す理想的な原材料と製法の組み合わせを発見する、新しいアプローチを見いだしました。これにより開発期間を劇的に短縮することができ、植物性カゼインを持続可能な規模で生産し、従来の動物性カゼインと同等の価格で提供できるとのこと。
また、精密発酵に欠かせない遺伝子組み換えは、EUを含む主要市場への参入において大きな障壁となっていることから、植物性カゼインは規制面でのメリットも有しています。
植物は、動物性原料を完璧に置き換えられる
Climax Foodsの創業者でありCEOのOliver Zahnは、「1ポンド(約0.45キロ)のチーズを作るのに700ガロン(約3.8リットル)の水を必要とするなど、乳製品の製造には非効率な点が多い。パイロットスケールで行っている当社の生産工程では、わずか500分の1の水量で済ませられる」と述べています。
また、植物性原料の可能性についても、「この技術は、植物界の豊かな生物多様性を細胞レベルまで深く知ることから始まる。植物は、動物性原料と全く同じ食感、味、性能を生み出すことができる」と語りました。
仏Bel Groupなどの大手チーズメーカーもその可能性に期待を寄せており、Climax Foodsは、同社の定番チーズ製品を植物性バージョンにアップデートする手助けも行っています*1。
乳製品から開発を出発させた同社ですが、その製法は、ほかの動物性食品の代替にも応用できる可能性があるとしています。
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