苦境のBeyond Meat、約3分の1の収益減少を受け2023年の業績見通しを下方修正

植物性食品市場をリードする米Beyond Meatが、2023年第2四半期の決算報告を実施。通年の売上予測を下方修正したことを受けて、同社の株価は20%以上下落し、2020年後半以来最大の下げ幅となりました。

利益率は改善するも製造コストの上昇が痛手


決算報告によると、2023年第2四半期の売上高は、前年同期比30.5%減1億210万ドル(約144億円)。純損失は5,350万ドル(約75億4,000万円)

売上総利益率は2.2%であり、マイナス4.2%を記録した前年同期と比べると改善しました。昨年実施した人員削減(全従業員の19%)や、材料費・物流コストの削減などの効果が出たものとみられますが、製造コストの上昇により、第1四半期からは低下しています。

同社は当初、2023年後半にキャッシュフローを黒字に持っていく目標を描いていましたが、この目標を達成できない可能性が高いと公表。通年の売上予測を、3億7,500万〜4億1,500万ドル(約529億〜585億円)から、3億6,000万〜3億8,000万ドル(約508億〜536億円)へと引き下げました。

物価高騰により需要が減少、健康面での誤解も


Beyond Meatをはじめとする植物性代替肉メーカーは、従来のタンパク源に比べて高価な製品を販売するのに苦労してきました。同時に、植物性代替肉は過度に加工されている不健康であるなどといった消費者の認識も痛手となっています。

Mintelが米国の消費者1,400人を対象に実施した最新の調査によると、今年に入って、インフレの影響で53%の消費者が、植物性食品のような新しい食品を試すことを控えているといいます。また、代替肉に対する懸念事項として、味(48%)、栄養(35%)、価格(34%)、食感(24%)、加工方法(21%)などの回答が挙げられました。

Beyond MeatでCEOを務めるEthan Brownは、植物性代替肉の原材料や製造工程に対する疑念や恐怖を植え付けているとして、食肉業界の利益団体を批判。こうした見方に対抗するマーケティングキャンペーンを展開し、代替肉のポジティブな環境側面を改めて強調しています。

同時に、米国心臓協会(American Heart Association)から認定を受けた初の食肉製品「Beyond Steak」を例にとり、原材料面の不安解消に向けた取り組みを行っています。

米国と欧州では消費者の認識に違い


米国での需要減退に大きく影響を受けた一方で、海外市場の小売売上高は前年同期比15.6%減、外食売上高は同0.9%減と、小幅な減少にとどまりました。

CEOのBrownは、米国と欧州における消費者の認識の違いについて、「米国では、健康上の理由が植物性食品を消費する主な原動力となっている。特に年配層は、食べ物が気候に与える影響については考えていないようだ」と話しています。

今年『Newsweek』誌が実施した世論調査でも、米国人の40%が、食事の変化がCO₂排出量の削減に貢献するとは考えていないことが示されました。

その一方で、若年層の間での環境志向の高まりを受け、米国のフードサービス企業Aramarkは、250以上の大学の学生寮の食堂メニューのうち44%を植物性食品にする計画を発表。Sodexoも、2025年までに大学キャンパスで提供するメニューのうち50%を植物性食品に置き換えるとしています。

Brownはこれらの動きに言及して、「真のトレンドはここにある」と可能性を強調。前年比では売り上げが減少したものの、第1四半期と比べて11%増加していることから減収は一時的なものとし、あくまで楽観的な姿勢を崩していません。

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