米UPSIDE Foodsがシカゴ近郊に培養肉工場の新設を計画、鶏ひき肉の生産から開始予定
米国で培養肉の販売認可を取得したUPSIDE Foodsが、シカゴ近郊に大規模生産施設を新設すると発表しました。今年中に着工し、2025年の稼働開始を予定しています。
最大10万リットルのバイオリアクターを設置
187,000平方フィート(約17,400平方メートル)の敷地面積を誇る新工場は、これより前には引き返せない地点という意味を込め、歴史に因んで「Rubicon」と名付けられました。
完成すれば、最大10万リットルの容量を持つバイオリアクターを備えた、世界最大かつ最先端の施設の一つとなります。当初は年間数百万ポンドの生産能力から開始し、将来的には同3,000万ポンド(約13,600トン)まで拡大させる計画。
UPSIDE Foodsは新工場の設計・製造パートナーとして、テキサス州ダラスを拠点とするテクノロジー企業のJacobsと提携。大量生産の拠点としてシカゴ都市圏を選んだ理由として、食肉生産の伝統、イノベーションと持続可能性へのコミットメント、交通の要衝に位置する地理的優位性、そして有能な労働力の存在を挙げています。
同社COOのAmy Chenは、鶏ひき肉をベースにしたナゲット、ソーセージ、餃子、パティなどの製品群からスタートすると語っており、倉庫管理、物流、生産まで75の新規雇用が創出される見込みです。
培地の調達と規制認可が課題に
UPSIDE Foodsの培養チキンは、先月Bar Crennにデビューして米国の外食市場に参入。現在は、カリフォルニア州にあり研究開発センターを兼ねる工場「EPIC」で生産されています。
同社によると、EPICは最大2,000リットルのバイオリアクターを備えており、年間5万ポンド(約23トン)の培養肉製品の生産体制を構築しています。将来的には、同40万ポンド(約180トン)以上に対応できるよう拡張する可能性があるとのこと。
まずは鶏ひき肉に焦点を当てているものの、将来的にはほかの動物肉やホールカット肉へと多角化する予定。同社はまだ生産コストの低減に取り組んでいる段階で、当初はプレミアム価格で市場に参入する計画です。
大量生産においての障壁となるのが、培地・成長因子の調達と、規制認可の取得。UPSIDE Foodsは2021年、ウシ胎児血清(FBS)を使用しないアニマルフリーの培地を開発しました。
成長因子(細胞の成長・分化を刺激するタンパク質)については、低コストで高品質の供給源を見つけることと並行して、成長因子にあまり依存せず培養できる細胞株を開拓する戦略です。
規制認可については、同社がすでに取得している米国食品医薬品局(FDA)の販売認可はホールカットの鶏肉が対象のため、鶏ひき肉には別途認可が必要。また、生産施設に対する米国農務省(USDA)の検査済み証明(GOI)も、前述のEPICが対象であったため、Rubiconでは新たに取得が必要となります。
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