シンガポールのScaleUp Bioが最初のクライアント企業獲得を発表、大規模施設の稼働も計画
B2B向けに精密発酵施設・サービスを提供するシンガポールのScaleUp Bioが、創業以来初となるクライアント企業の獲得と、同国における発酵生産拠点の開設計画を発表しました。
アジアにおける成長戦略をサポート
世界的な農業関連企業アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)と、シンガポールの投資会社Temasekの子会社Nurasaとの合弁事業として昨年立ち上げられた、ScaleUp Bio。
同社の最初の契約は、オーストラリアに拠点を置くNourish Ingredientsとの間で交わされました。植物性タンパク質の風味を改善するNourish Ingredientsの代替脂肪の生産を拡大し、アジアにおける成長戦略をサポートする目的です。
Nourish Ingredientsは先月、豪州・シドニーで開かれた展示会で、従来の食肉と同じような調理特性を示す代替脂肪製品「Tastilux」を発表。
同社CEOを務めるJames Petrieは、「ScaleUp Bioの有する技術的な専門知識と食品グレードの生産設備を利用することができ、代替脂肪生産のスケールアップが可能になる。今後数カ月間でパートナーシップを深め、拡大していきたい」と語っています。
1万リットル規模の大規模施設を稼働予定
ScaleUp Bioはまた、アジア市場をターゲットにした持続可能な原料の開発を検討するため、同じく代替脂肪を生産する米C16 Biosciences、植物性代替肉を手掛けるマレーシアのUltimeat、藻類と菌糸体から代替プロテイン原料を生産するシンガポールのAllium Bioとの間で、それぞれ予備的合意に至ったと発表しています。
現在、食品グレードの発酵生産に特化した2つの施設の建設を進めており、2024年初頭に本格稼働させられる見込み。
1つ目の施設「Fermentation Joint Lab」は、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)管轄下のシンガポール食品・バイオテクノロジー・イノベーション研究所(SIFBI)と共同で設立・運営を行います。
2つ目の施設はScaleUp Bioの本社を兼ねる建物で、最大1万リットルの大型バイオリアクターを備えた、食品グレード専用の大規模生産施設となる予定です。
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