精密発酵ミオグロビンを開発するベルギーのPaleo、活況を呈するペットフード市場への参入を発表

ベルギーの精密発酵スタートアップPaleoが、酵母を用いて生産したアニマルフリーのミオグロビンをペットフードに使用する世界初の特許申請を行うとともに、ペットフード市場への参入を発表しました。

食肉の機能性を再現するヘムタンパク質


ミオグロビンは哺乳類の筋細胞に含まれるヘムタンパク質の一種で、筋組織中で酸素を貯蔵・運搬する役割を担う物質。

風味、鉄分、調理特性(生では赤色で加熱すると褐色に変わる)など、食肉の重要な機能性の一部を担っており、これを代替肉に加えることで本来の特質を再現できることが知られています。

Paleoはすでに酵母ベースの精密発酵ミオグロビンを、植物性代替肉やシーフードに用いて風味を向上させるテストに成功。このたび、その適用の幅をさらに広げ、同成分をペットフードに使用する特許を申請しました。

同社CEOのHermes Sanctorumによると、この動きは「ペットの嗜好性と受容性を高めるパラタント(風味増強剤)の分野における、重要な需給ギャップを埋める態勢を整える」ものだといいます。

人間にもペットにも受け入れられる製品に


ペットフード購入者の傾向を分析すると、持続可能性がますます重要な要素になってきており、植物性やヴィーガン製品ラインを立ち上げる大手ブランドも増加。

しかしながら、飼い主が持続可能な製品を買いたいと願っても、ペットは慣れ親しんだ味を好み、ヴィーガン製品を気に入るという保証はありません。

CEOのSanctorumは、「精密発酵ミオグロビンにより肉本来の味を実現することで、人間にもペットにも受け入れられる決め手となる、大きな違いを生み出せるだろう」と語っています。

最近の調査では、もし世界中の犬猫がヴィーガンになれば、5億2,000万人近くの人々を養い、複数の国を合わせた面積に匹敵する広大な土地を保護し、何十億頭もの動物を殺処分から救うことができるとの試算もあるほど、ペット飼育数の増加に伴って高い環境負荷も問題に

ヒトの食料源を代替プロテインで置き換える動きに沿って、代替ペットフード業界も今後一層の成長が見込まれます。

他企業の動きとしては、カナダのCULT Food Scienceが保有するNoochiesや、英国のブランドOmniThe Packなどがここ数カ月で新製品を発売。米BioCraft Pet Nutritionは、猫が培養マウスの肉を使ったフードを試食する様子をSNSにアップしました。

Paleoと同じく精密発酵ペットフードに取り組む企業には、米・コロラド州に本社を置くBond Pet Foodsがあります。

Paleoは、最初の市場化を狙う国については「規制当局の認可が迅速に下りる場所から」と柔軟な姿勢を取っており、いずれは主要市場のすべてで認可申請を行う予定。先月には、地元企業との提携によるネットワーク構築を見据え、シンガポールに初の海外拠点を開設しました。

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