細胞培養ミルクを開発するカナダのOpalia、乳製品サプライヤーのHoogwegt Groupから約2.2億円を調達
カナダで細胞培養ミルクを開発する唯一の企業Opalia(旧称:BetterMilk)が、初となる製品の開発を加速させ商業戦略を確立するため、200万カナダドル(約2億2,200万円)の調達を行ったと発表しました。
乳製品大手も持続可能な代替品を追求
カナダの政治家で地域経済開発担当大臣などを務めるPierre Fitzgibbonは、「OpaliaはCO₂排出量を削減する革新的なソリューションを持っており、2050年までにケベック州をアメリカ大陸初のカーボンニュートラルな州にするという我々の目標に合致している」と述べています。
今回の資金調達ラウンドでリードインベスターを務めたのは、オランダを拠点に1965年以来130カ国以上で事業を展開する、大手の乳製品・乳原料サプライヤーHoogwegt Group。
そのほかには、Ahimsa Foundation、Box One Ventures、Cycle Momentum、ケベック州政府の「Impulsion PME」プログラムなどが参加しました。
Hoogwegt GroupのRoland Wientjesは、「Opaliaへの投資により、持続可能な代替手段を追求する必要性を強調したい。Opaliaの牛を使わない牛乳が、将来の持続可能な乳製品サプライチェーンにおける重要な構成要素になると確信しており、最初の製品の発売を心待ちにしている」とコメント。
本来は競合となり得る乳製品業界の企業でありながら代替乳製品にも積極的な投資を行う戦略は、培養肉企業に投資するJBSやタイソン・フーズなどと共通しています。
ウシの乳腺細胞を培養して牛乳を生産
細胞農業に関わる多数の企業に投資を行っているカナダ企業、CULT Food Scienceのポートフォリオ企業の一社であるOpaliaは、2020年の創業以来、ウシの乳腺細胞を培養して牛乳を作り出す技術開発を進めてきました。
強化された乳腺上皮細胞をバイオリアクターに入れて増殖させ、牛乳の成分となる乳清(ホエイ)、カゼイン、乳脂肪などを生産。
これにより、牛乳の味、機能性、栄養価を損なうことなく、倫理的でより持続可能な乳製品を提供することを目指しています。
2022年には、細胞増殖の培地に使用されていたウシ胎児血清(FBS)を、アニマルフリーの成分に置き換え。米国食品医薬品局(FDA)にも認可されている代替の基質を発見し、より安価で汚染リスクも少ない代替品での生産に成功しました。
Opaliaと同じく細胞培養ミルクを開発するほかの企業には、ドイツのSenaraやイスラエルのWilk Technologiesなど。フランスのNūmiは、乳児用のヒト母乳の生産を開拓しています。
参考記事:
Opalia Receives Investment from Dairy Supplier Hoogwegt Group for “Cow-Free” Cell-Based Milk
Opalia’s Animal-Free Milk Closer to Launch After Removal of Fetal Bovine Serum
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