藻類タンパク質を開発するスペインのPoseidonaが、プレシードラウンドで約1.8億円を調達
スペインのフードテック企業Poseidonaが、持続可能な藻類タンパク質原料の開発強化を目指し、プレシードラウンドで110万ユーロ(約1億8,000万円)の調達を行ったと発表しました。
海洋生態系を壊す海藻を食品原料に
同ラウンドは、気候テックとブルーエコノミーのVCファンドであるFaberがリードインベスターを務め、Dozen Investments、Sprout & About、Proveg International、WA4STEAMが参加。
Poseidonaは、農業副産物の藻類や侵略的外来種の海藻を利用し、動物性タンパク質や従来の植物性タンパク質に比べて水や土地の利用量、CO₂排出量を大幅に削減した費用対効果の高いタンパク質を生産しています。
同社は、地中海沿岸における繁殖が問題視されている外来種の海藻、フクリンアミジ(Rugulopteryx okamurae)に着目。この海藻は、浜辺などに打ち上げられると分解して硫化水素を発生させる恐れがあるため、観光客の多く訪れる同地域では健康上のリスクが懸念されているものでした。
これを代替タンパク質の生産に活用することで海洋生態系の保護に貢献できると同時に、ヒトへの危害も排除できると期待されています。
同社はそのほか、太平洋で大量発生し影響を及ぼしている別の海藻種、サルガッサム(Sargassum)などの利用も計画しています。
世界人口の増加に対応したソリューション
Poseidonaは、食品素材の専門家María Cermeñoと、米国・サンフランシスコを拠点とする代替シーフード企業Current Foodsを共同創業(その後Wicked Kitchenに売却)したSònia Hurtadoにより、2022年に設立。
昨年は、フードシステムの転換を促進する非営利団体ProVeg Internationalが代替プロテイン界のスタートアップを支援するため立ち上げたProVeg Incubatorに参加し、12月14日のデモデーでピッチを行っていました。
CEOのHurtadoによると、副産物はコストが低く、場合によっては一切かからないこともあり、またタンパク質がすでに濃縮されていることも利点だといいます。
Hurtadoは、食品科学者が新たなタンパク源を見つける必要性を認識していることにより、食品産業や農業から出る廃棄物の活用が一般化しているといい、「世界が人口過剰になりつつある中で、今あるすべての資源を最大限に活用しなければならない」とコメント。
原料に使う海藻の収穫については、魚の個体数減少に伴い地元の漁師の仕事が減っていることから、漁師に海藻を集めてもらい新たな収入源を創出するプロジェクトに着手。今後数年間、この取り組みを続けるとしています。
Poseidonaの最初の製品としては、濃縮大豆タンパク質の代替品を計画。試作品ではキノコのようなうま味を持ち、やや赤みがかった色をしていることが確認されました。準備がスムーズに進めば、今年の末にも発売が可能と見込んでいます。
参考記事:
Poseidona is removing invasive algae from oceans and turning it into food | TechCrunch
Female-Led Startup Poseidona Raises €1.1M for Innovative Algal Protein Ingredients
Poseidona unveils game-changing algal protein and raises +€1 million in pre-seed funding led by FABER | PPTI
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