米MeliBioとPow.Bioが提携、AIの活用により精密発酵ハチミツの製品化へ
植物性ハチミツ製造のパイオニア企業である米MeliBioが、同じくカリフォルニアに拠点を置くPow.Bioとの戦略的提携を発表しました。
昨年以来ヴィーガンハチミツの分野で複数の製品を発表してきましたが、創業当初からの目的であった精密発酵ハチミツの開発を進めるとしています。
AIで発酵プラットフォームの効率を最大化
この提携では、MeliBioの製品開発において、Pow.Bioの人工知能(AI)を組み込んで最適化した連続発酵技術を活用。生産スケールアップに向けた取り組みを今月中に開始する予定で、90億ドル(約1兆3,600億円)のハチミツ市場を破壊するための重要な一歩を踏み出します。
ミツバチに依存しないハチミツ製品開発の最前線で環境負荷の低減と生物多様性保全に努めるMeliBioは、初期のPoC(概念実証)を完了させ、発酵による標的物質の生産が可能であることを明らかにしました。
同社は、より持続可能で高品質なハチミツの普及という使命を加速させるため、市場投入を優先。精密発酵製品の開発を水面下で続けながらも、昨年国内向けに植物性ハチミツ「Mellody」を発売しました。
共同創業者でCEOを務めるDarko Mandichは、昨年8月の『Green Queen』の取材に対し、「植物性ハチミツの発売を望むシェフが増え、投資家たちのサンプルが洗練されてきていることに気付いた」と語っています。このシフトにより、「当初5〜7年かかっていた製品発売のスケジュールを3年に短縮」することに成功しました。
精密発酵ハチミツの製品化へ
本物のハチミツに近い味と食感ですでに高い評価を受けているMeliBioの製品は、初年度に100万ドル(約1億5,100万円)を超える利益を上げ、EUと英国でも他社との提携を通じて発売されています。
Mandichによると、「欧州では従来のハチミツと同等の価格になっており、今年中には米国でも同様の価格を実現できると期待している」とのこと。
Fast Companyの「2024年 最も革新的な企業」の1社にも選ばれた同社は、先週開催されたExpo Westにおいてハバネロで辛みを付けた新製品を発表するなど、注目を集めています。
これまでに累計940万ドル(約14億2,000万円)の資金を確保していますが、黒字化を目指し、現在シリーズAラウンドで1,000万ドル(約15億1,000万円)の調達を進めている最中。
また、生産スケールアップの取り組みと並行して、米国食品医薬品局(FDA)への認可申請手続きを進めており、精密発酵製品の市場投入に向け着実に歩を進めています。
参考記事:
Bee-Free Honey: MeliBio Partners with Pow.Bio to Scale Up Precision-Fermented Sweetener with AI
The Buzz in Food Tech: MeliBio’s AI-Enhanced Honey Alternatives – SynBioBeta
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