イスラエルのPoLoPoが、ジャガイモで卵白タンパク質を生産する分子農業プラットフォームを発表

イスラエルの分子農業スタートアップPoLoPoが、ジャガイモで動物性タンパク質を生産する分子農業プラットフォーム「SuperAA」を発表しました。

鶏卵と同じ卵白タンパク質を生産


PoLoPoは現在、このプラットフォームを用いて温室でのジャガイモ栽培を実施。オボアルブミン(卵白の54%を構成するタンパク質)とパタチン(ジャガイモに本来含まれる天然タンパク質)という、2種類の主要タンパク質を生産することに主眼を置いています。

オボアルブミンは、その機能的特性から加工食品に広く使用されており、世界のオボアルブミン粉末市場は2032年までに360億ドル(約5兆4,500億円)に達すると予測されていますが、鶏卵の価格が上昇しサプライチェーンが寸断される中、業界にとって手頃な代替品が求められるように。

一方、パタチンの粉末は、スウェーデン企業DUGが販売するポテトミルクのような植物性食品から、スポーツ栄養や栄養補助食品まで、さまざまな食品に適したアレルゲンフリーのタンパク質を提供するものです。

効率的で費用対効果の高いジャガイモを活用


PoLoPoのCEOを務めるMaya Sapir-Mirは、「SuperAA」プラットフォームは「植物を生きた工場として利用し、その自然の生産力と貯蔵器官を活用して、鶏卵由来のタンパク質と同一のタンパク質を成長させるもの」と説明。

同様の技術により、豚肉タンパク質(Moolec Science)や乳タンパク質(Miruku)、成長因子(ORF Genetics)などを生産する企業が出現しています。

使われる植物種はベニバナや大豆、オオムギと各社さまざまですが、PoLoPoは多様な気候に適応し成熟の早いジャガイモを活用。塊茎に比較的多くの標的タンパク質を蓄えられることのほか、単位面積あたりの収穫量が多く、収穫と加工が容易な上、長期保存が可能というメリットもあります。

Sapir-MirとRaya Liberman-Aloniが共同で2022年に創業した同社は昨年、分子農業技術をさらに発展させるため、プレシードラウンドで175万ドル(約2億6,500万円)を調達。

間もなく食品業界向けに試験販売を開始する見込みで、サンプル入手の問い合わせも受け付けています。

参考記事:
PoLoPo Unveils SuperAA Platform: Protein Biofactory in Potato | Protein Report
PoLoPo Unveils Molecular Farming Platform in Potato Plants to Grow Egg Proteins

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