イスラエルのPluriとWilkが、高齢者向け医療食の商業生産へ向け提携

イスラエルの細胞農業企業PluriWilk Technologies(以下、Wilk)が、新たな戦略的提携の実施を発表しました。

両社の技術を合わせてヒト母乳に含まれる成分を利用し、高齢者向けのユニークな医療食を商業規模で生産します。

高齢者の健康維持に寄与する医療食


高齢者向けの医療食は、高齢者特有の栄養ニーズや健康上の懸念に対処するよう特別な処方設計がなされています。

近年、高齢者人口の増加や、病気やその後の治療の過程で栄養不足を引き起こし得る慢性疾患の有病率上昇により、医療食に対する需要が増加。

この提携では、細胞を3次元的に培養するPluriの技術とWilk独自の細胞株を活用することで、高齢者向けに機能性を高めた医療食を共同開発。商業的な生産が可能な規模までスケールアップさせることを目指します。

PluriのCEOを務めるYaky Yanayは、「当社の使命は、細胞ベースの技術を活用して、加齢に伴う健康状態の悪化や世界的な食料不足といった、人類にとって最も差し迫った問題に取り組むことだ」とコメント。

「今回の提携により、何百万もの人々の生活の質を向上させ、世界規模で高齢者の健康に革命をもたらしたい」と語っています。

細胞培養に取り組む2社の提携


Pluriは、他に類を見ない正確性、拡張性、効率性、一貫性を達成していると謳う技術プラットフォームを有しており、再生医療、フードテック、アグテックの分野で事業展開を行っているほか、B2BのCDMO(製造開発受託)サービスも提供しています。

2022年には、イスラエル最大の食品メーカーTnuvaとの合弁でEver After Foodsを設立し、特許取得済みのバイオリアクターを用いたコスト効率の高い培養肉生産プラットフォームを開発。

この技術を応用して細胞培養コーヒーの開発にも着手し、大規模生産に焦点を当てた子会社としてスピンアウトさせる計画を発表しています。

一方のWilkは、カーボンフットプリントの低い持続可能な生産手法を開拓して、乳製品と乳児用粉ミルク業界に革命を起こすことに注力する企業。細胞培養によるヒト母乳と牛乳、両方の成分を開発ターゲットとしています。

昨年には、乳製品世界大手のダノン、同じイスラエルのフードテック企業Steakholder Foods、Coca-Cola Israelを保有するThe Central Bottling Companyから投資を受けました。

参考記事:Novel Medical Food Solution for the Elderly: Pluri & Wilk Collaborate to Develop Human Breast Milk-Derived Food Production on a Commercial Scale – pluri-biotech.com

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