米The Better Meat Co.が、マイコプロテイン「Rhiza」のFDA GRAS認証を取得
米国・カリフォルニア州のフードテック企業The Better Meat Co.が、マイコプロテイン製品「Rhiza」について、米国食品医薬品局(FDA)のGRASステータス取得を発表しました。
フザリウム属菌以外では初の認可に
The Better Meat Co.はすでにGRAS自己認証* の取得により米国内での販売を認められており、外食市場向けに供給を行っています。
FDAへの認可申請を行ってから2年、今回の「No questions(異議なし)」レター受領により、「Rhiza」を食肉製品や乳製品に使用しても安全であることが、より透明性高く示された形となりました。
これまでマイコプロテインでは、英国企業のQuornとENOUGHがFDA GRASを取得していました。この2社がいずれもフザリウム属の菌株(Fusarium venenatum)を用いているのに対し、The Better Meat Co.は世界中で伝統的な発酵食品に広く使用されてきた歴史のあるアカパンカビ(Neurospora crassa)を使用しています。
Rhizaは、牛肉、豚肉、鶏肉、シーフードの代替品に30~90%の範囲で使用できるほか、牛乳、チーズ、コーヒーミルク、ヨーグルト、アイスクリームといった代替乳製品にも最大15%までの使用が認められます。
さらに、この原料は米国農務省(USDA)により食肉の改良剤として評価され、ハイブリッド肉製品に配合するのに適切かつ安全であると分類されたとのこと。
同社のマイコプロテインは、2019年から食肉大手パーデュー・ファームズが手掛ける動物性食肉とのブレンド製品「Chicken Plus」に採用。現在では7千を超える小売店で販売されており、ハイブリッド肉では最も成功した事例の一つとなっています。
Meati Foodsとの法廷闘争が終結
The Better Meat Co.は、資金力で劣るライバル企業に対し不当な「いじめ」を行ったとして、2021年12月に同業のMeati Foodsを提訴。同じく液中発酵技術を採用するMeati Foodsは、逆に知的財産が盗まれたと反論していました。
この争いの発端は、The Better Meat Co.が自社技術の特許を取得した際、発明者がAugustus H. Pattilloと記載されていたこと。
Pattilloは以前、シカゴのアルゴンヌ国立研究所でエネルギー省の研究員として1年間働いていましたが、その頃Meati Foods(当時の社名はEmergy)も同機関で再生可能バッテリーの研究を実施していた経緯から、知的財産を巡る疑義が生じていました。
カリフォルニア州東部地区の裁判官は先月、The Better Meat Co.を大きく支持する判決を下し、Meati Foodsの主張を棄却。両当事者が手を引くことに合意する形で、2年半に及んだ係争に終止符が打たれました。
生産コストの大幅な引き下げに成功
長引いた訴訟問題は資金調達能力に大きく影響したものとみられ、The Better Meat Co.が確保できた投資額は、累計で960万ドル(約15億2,000万円)。Meati Foodsの3億6,500万ドル(約576億円)と比べると、ごくわずかな金額にとどまっています。
そんな中でも同社は、米国とアジアの大手CPGブランドと複数の契約を締結するなど、開発努力を継続。つい先日には、生産コストの大幅な引き下げに成功したと発表しました。
規模を拡大した場合、研究開発にこれ以上の進展がなかったとしても、従来の牛肉と同等のコストを実現できるとしています。
参考記事:
GRAS Notice (GRN) 1117, Mycelial biomass from Neurospora crassa
The Better Meat Co Receives FDA GRAS Approval Letter for Rhiza Mycoprotein
The Better Meat Co. receives GRAS no questions letter from FDA for Rhiza mycoprotein
BREAKING: Meati Foods dealt blow in alt meat IP dispute with The Better Meat Co; judge slams firm’s ‘sandbagging,’ and ‘shenanigans’
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