イスラエルのForsea Foods、培養ウナギの開発において記録的な細胞密度を達成し、低コスト化へ前進
2026年に日本での商品化を目指し培養ウナギの開発を進めるイスラエルのForsea Foodsが、生産プロセスにおけるブレークスルーを達成。細胞農業界で最高レベルの細胞密度を記録し、従来のウナギと同程度の価格の実現に一歩近づいたと発表しました。
1mlあたり3億個超の細胞密度を達成
培養する細胞の密度を高めることは、生産時間の短縮とコストの削減、製品の品質向上に寄与するため、商業レベルまで生産を拡大するために不可欠。培養肉・シーフードを手掛ける企業にとっては、より小さなスペースで高密度にタンパク質を培養する技術を開発することが市場開拓の鍵となるとみられています。
代替プロテイン界のシンクタンクThe Good Food Institute(GFI)によると、多くのスタートアップ企業が実現できている細胞密度は1mlあたり10万〜50万個程度ですが、大規模な生産者はさらに高密度を目指しているとのこと。
Forsea Foodsは、画期的な技術開発により、培養肉の生産コストの大部分を占める培地の使用を最小限に抑えつつ、1mlあたり3億個超という業界最高の細胞密度を達成しました。
生産面でメリットの大きいオルガノイド形成技術
43億ドル(約6,660億円)の規模とされるウナギ肉の市場のうち約70%を占めている日本で市場化を目指すForsea Foodsは、2026年の発売を目標に設定し、今年1月に東京のヴィーガン食レストラン「菜道」で培養ウナギのプロトタイプを初披露。6月には、日本大使館の代表や日本の食品企業の代表者を招いて、イスラエルで公式試食会を開きました。
同社が主要な開発ターゲットとするニホンウナギは養殖下での繁殖が難しく、絶滅危惧種に指定されています。密漁や違法取引、繁殖トラブル、水質汚染により個体数が減り、2000年ごろから消費量が大幅に減少しました。さらには、乱獲がウナギの個体数だけでなく、ウナギが生息する海や川の生態系にも影響を及ぼしています。
Forsea Foodsが独自に開発したオルガノイド形成技術は、幹細胞を育てて脂肪、筋肉、結合組織からなる微小な3D組織を作製するもの。これらが自発的に食用に適した細胞へと分化し、生きている動物における組織の自然な成長過程を再現します。
また、細胞が組織を形作る際に支持体となる足場が不要で、成長因子への依存も大幅に減らすことで、コスト効率の高い生産が可能な点でも魅力。
共同創業者でCEOのRoee Nirは、同社のオルガノイド技術は「ほかの技術に比べ設備投資が少なく済む」ことを強みに挙げ、「最小限の資源でこのレベルの細胞密度を達成することは、培養シーフードの生産コストを従来品以下にまで引き下げることにつながるだろう」と語っています。
参考記事:
Israeli Startup Announces ‘Record-Breaking’ Development to Make Cultivated Seafood Affordable
Forsea Achieves “Record-Breaking” Cell Density in Cultivated Eel Prodution
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