培養肉の市場化が近づく韓国、フードテック業界のリーダーが協働へ向けMOUを締結

米国の非営利シンクタンクThe Good Food Institute(GFI)のアジア支部としてシンガポールに拠点を置くGFI APACと、Korea Biotechnology Industry Organization(KoreaBIO)Bio-based Future Food Industry Committee(BFFIC)が、韓国における代替プロテイン開発を加速させるための提携を実施。ソウルで行われた調印式で覚書(MOU)を締結しました。

3者間連携の目的


KoreaBIOは600社のメンバー企業を擁し、バイオ関連企業の成長を支援して国家経済に貢献することを目指す業界団体です。BFFICは今年7月に発足した機関で、韓国国内のスタートアップ企業33社が加盟。培養肉開発を手掛けるSimple PlanetのCEO、Dominic Jeongが初代理事長を務めています。

MOUの内容は、3つの組織が市場調査、技術ノウハウの交換、新規食品規制の枠組みに関する政策協調の促進に取り組むことを定めたもの。また、培養肉その他の新規タンパク質に関する世界規模のウェビナー、ワークショップ、プレゼンテーションの実施など、教育面の取り組みにおいても協力を行います。

さらには、韓国と海外の業界関係者のより強固なつながりを生み、新規食品に携わる韓国企業のグローバルな拡大を促進することを狙いとしています。

GFI代表のBruce Friedrichは、「食肉の生産方法を再考することは、人類にとって未だ開拓されていない最大の機会の一つだ。ワールドクラスのイノベーションハブとして韓国が有する広範な研究開発・製造エコシステムは、培養肉開発を強力に推し進め、地球上で緊急に必要とされている技術的ブレークスルーを追求する上で、重要な役割を果たすだろう」とコメントしました。

規制面での顕著な進展があった一年


近年、韓国政府は細胞農業のイノベーションを支援するべく、さまざまな政策を実施してきました。

代替プロテインに関する公式ガイダンスを国家計画に盛り込んだことや、慶尚北道での細胞農業産業支援センター(North Gyeongsang Cellular Agriculture Industry Support Center)立ち上げに続き、今年は細胞培養食品の開発における規制特区を設置。

SeaWithTissenBioFarmDaNAgreenなど10社が特区に入居し、規制による縛りを受けずに培養肉のプロトタイプ開発を進めています。

韓国初の培養肉の認可に向けた審査についても、食品医薬品安全処(MFDS)で現在進められており、2025年前半には完了するものとみられています。今回の発表でGFI APACは、最初の審査対象となる培養肉はSimple Meatの製品であることを示唆しました。

規制面がクリアになったことで、韓国企業との協力を模索するスタートアップ企業も増加しており、シンガポールのUmami Bioworksは、培養シーフードの工場設立を目指してKCell BiosciencesおよびWSGと提携。

カナダのCULT Food Scienceは、培養ペットフードを手掛けるEverything Butとの協働で、米国で培養鶏肉を使ったペットフード製品を発売しようとしています。

参考記事:
GFI APAC | LinkedIn
New Tri-Party Initiative Launches to Accelerate Cultivated Meat in South Korea Ahead of 2025 Market Launch
Industry Leaders Team Up to Fuel South Korea’s Protein Transition Ahead of Cultivated Meat Arrival

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