米Krokos Bioがステルスから脱却、植物細胞を培養して希少なサフランを生産

米国・カリフォルニアを拠点とするKrokos Bioが、ステルスモードからの脱却を発表しました。ベンチャーキャピタルBig Idea Venturesの支援を得て、希少なスパイスとして知られるサフランの培養生産を進めています。
脅かされるサプライチェーンの緩衝材に
Krokos Bioは、微生物や動物細胞を用いるバイオプロセスの開発に携わってきたJacob Langが2024年半ばに創業。
高価値の植物原料を生産する上では細胞培養が経済的に理にかなった選択肢だと確信し、中でも高値で取引されることで有名なサフランに注目しました。
「さまざまな希少植物が何らかの理由で危機に瀕している。多くは供給が一カ所に集中していることによるもので、マダガスカル産バニラの大部分がサイクロンで失われてしまったように、気候変動に対して非常に脆弱だ」とLangは指摘。
「植物細胞の培養は、従来の農業に取って代わるのではなく補完するものであり、サプライチェーンがたった一つの出来事で脅かされないようにする緩衝材の役割を果たせるだろう」と語っています。
サフランは1kgを収穫するのに17万本もの花が必要な上、その収穫は手作業で行われるため、極めて労働集約的で高コストな作物となっていました。さらに、現在は大半がイランで栽培されており、干ばつが価格に影響を及ぼしています。
高価な原料の代替品生産で有望視
こうした背景から注目されている手法が、太陽光、水、土を使って植物を育てる代わりに、条件を最適化したバイオリアクターの中で植物細胞を培養して、細胞の2次代謝産物を得るもの。
カカオやコーヒー、アロエベラ、バニラ、サポニンなどの生産に活用されている事例があり、Krokos Bioと同じ米国企業のAyana Bioも、韓国のWooree Green Scienceと共同で細胞培養によるサフランの開発を行っています。
Langによると、「植物細胞の培養は動物細胞に比べて多くの利点があり、高価な成長因子をあまり必要としないので、一般的にかなり安価で済ませられる。一方で、デメリットとしては、微生物細胞と比べるとかなりせん断に弱くなっている」とのこと。
目下、培養の舞台となるバイオリアクターの最適化を進めており、プラスチックなどのさまざまな素材を試すと同時に、醸造用の設備の再利用も検討中。バイオ医薬品用に設計された既存の高価な設備に頼らず、低コスト化を図っています。
Langは、植物細胞の培養という手法は「キロ単価10ドル(約1,480円)以下で販売されるようなものでは非常に難しいと考えられるが、低品質のサフランでもキロ単価1,000ドル(約14万8,000円)で取引されている。顧客が期待する品質を達成し、食品グレードの生産手法を確立すれば、価格帯自体は達成が可能だ」としています。
参考記事:
Big Idea Ventures Announces Seven Innovative Startups in Latest Global Food Innovation Fund II Cohort – bigideaventures
Krokos Bio enters plant cell culture arena with saffron tech as cracks emerge in botanical supply chains


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