英Multus、培養肉生産用のウシ胎児血清に代わるアニマルフリー血清を発売
英国のバイオテクノロジー企業Multusが、より倫理的な培養肉生産を促進する、ウシ胎児血清(以下、FBS)に代わるアニマルフリーの培地成分「Proliferum B」を発売しました。
倫理面・コスト面の問題を抱える血清を代替
「Proliferum B」は、Multusの機械学習システムを用いて開発された初の製品。倫理的懸念がありコストもかかる血清に依存することなく、培養肉の研究開発を加速させます。
共同創業者でCEOのCai Lintonは、「培養肉をより手頃な価格で入手しやすくするためには、培地の開発を大幅に効率化し、開発企業の進展と規模拡大を加速させる必要がある」とコメント。
現在も広く使われているFBSには倫理面・コスト面での問題がありますが、代替品の開発は遅れており、市場の進歩を妨げていると指摘しました。
対照的に、ウシの細胞を用いて開発された「Proliferum B」は、初代ウシ線維芽細胞、不死化ウシサテライト細胞、不死化マウス脂肪前駆細胞など種々の細胞でFBSと比較した試験を行い、倍加時間の短縮や継代培養した際の一貫性などが実証されています。
世界初の培地工場を開設
Multusは2021年に初の製品として、食品業界で大規模に使用される成長培地「Proliferum M」を発売。その後、食品安全基準に従って生産されていることを保証する、ISO22000も取得しています。
昨年790万ポンド(約15億4,000万円)の資金調達を完了させ、今年初めに培養肉生産に用いる無血清培地の、世界初の大規模工場を開設しました。
CEOのLintonは、研究を加速させられる機械学習の可能性を強調しており、開発に9カ月を要した「Proliferum B」で顧客企業の開発努力をサポートしたい考え。サンプル提供を依頼する直接の問い合わせに対応しています。
参考記事:
Multus launches animal component-free FBS alternative | The Cell Base
Multus Launches Animal-Free Alternative to Fetal Bovine Serum for Cultivated Meat
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