米Orbillion Bioが、北米・欧州・アジアの施設で培養牛肉生産のマイルストーンを達成
米国の培養肉企業Orbillion Bioが、北米、欧州、アジアの生産施設で牛の筋細胞を培養するというマイルストーンを達成したと発表しました。コストと大規模生産の課題に対処しながら培養肉をグローバルに拡大する上での、重要な進展となります。
培養肉生産の圧倒的な効率化を可能に
Orbillion Bioの培養肉生産へのアプローチは、同分野の多くの競合他社と一線を画しています。その生産手法は、独自の計算ツールと予測モデリングプラットフォームを用いて、細胞の成長に必要な環境を緻密にコントロールするもの。
多くの企業が用いる線維芽細胞ではなく、筋細胞と脂肪細胞を直接培養し、遺伝子組み換えや長時間の細胞適応プロセスを必要としないのが特徴です。
また、細胞の成長を促進するために使われる動物由来の血清や、高価な成長因子も必要としません。
この方法により、生体からの細胞採取からバイオリアクターを用いた3次元培養(懸濁培養)に直接移行でき、圧倒的な効率化が可能に。開発コストを数百万ドル規模で削減し、生産スケジュールを1年以上短縮することに成功したといいます。
市場化に向けた大きな一歩
培養肉の商業化を妨げる主要なハードルの一つが、本来医薬品用に開発され、食品生産の規模やコスト構造に適していないバイオプロセスに依存していることにあります。Orbillion Bioは自社の強みを生かしてこの課題に対処することで、世界の食料システムの変革を目指してきました。
同社は今年3月、予測モデリング技術を前進させるため、ベンチャーキャピタルからの資金調達を実施。製品が消費者の手に届くのはまだ先のことですが、今回の成果は、その目標に向けた重要な一歩となります。
同時に、商業化を加速させる取り組みの一環として、フードテック界で30年以上の経験と専門知識を有し、ネスレとDSM Nutritional Productsで重役を歴任したThomas Beckを取締役に任命しました。
米国では州レベルでの生産・流通の禁止など、規制上のハードルを考えると広く市場に出回るかどうかはまだ不透明な状況ですが、同社は生産規模の拡大に注力し、規制当局の認可が下り次第需要に対応できる体制を整えています。
参考記事:
Orbillion – Dec 2024 Press Release.pdf – Google Drive
Orbillion Achieves Multicontinental Production Milestone for Cultivated Beef
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