米Clever Carnivore、培養肉生産のスケールアップに向け約10.3億円を調達
米国・シカゴのバイオテクノロジー企業Clever Carnivoreが、応募超過となったシードラウンドで700万ドル(約10億3,000万円)の調達を行ったと発表しました。
コスト削減で価格競争力を高める
Clever Carnivoreは、現CEOのVirginia Rangosと、ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部教授のPaul Burridgeが2021年に共同で創業した企業。
細胞株開発と培地の最適化に関して20年以上の研究経験を持つBurridge主導のもと、培地コストの驚異的な削減を達成したといいます。
今回のラウンドは、代替プロテイン業界への投資に積極的なことで世界的に有名なLever VCがリードインベスターを務め、スペインのMcWin Capital Partners、ベルギーとスイスに本社を置くThia Ventures、米Stray Dog Capitalなど、国内外のベンチャーキャピタルが参加しました。
出資元の一つThia VenturesのBart Van Hoolandは、「培養肉が私たちの食卓に欠かせないものになることは疑う余地がないが、これまでは従来と同じ味・栄養を備えた肉を真に競争力のある価格で提供する製品を作る技術が欠けていた。Clever Carnivoreは、そのギャップを埋めるために必要なものを備えている上、開発スピードも極めて速い」と述べています。
年初に培養ポークソーセージを発表予定
Clever Carnivoreは、年末までにシカゴのリンカーン・パークに構える拠点を近隣の大型施設に移転する計画。これにより、500リットルのバイオリアクターへと生産スケールを拡大させ、テストキッチンも確保できる見込みです。
現在は培養ポークソーセージの開発に注力しており、来年初頭にも試作品「Clever Bratwurst」を発表する予定。
歴史的に見て世界の食肉加工業の中心地であったシカゴは、現在、より効率的で持続可能なプロセスを用いたタンパク質生産の復活に向けて歩を進めています。
同地を拠点とする企業には、代替乳製品を米国全土のWhole Foods Marketで展開するNature’s Fyndや、菌糸体由来のマイコプロテインを用いてイカなどのシーフードを再現するAQUA Cultured Foodsが存在。
また、今年米国で培養肉の販売認可を取得したUPSIDE Foodsは先日、シカゴ近郊に大規模生産施設を建設すると発表しました。
シカゴ初の培養肉企業としてこうした動きの先頭に立つ、Clever Carnivoreの今後の動向が注目されます。
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