世界初の培養ペットフード、MeatlyとTHE PACKが英国で発売
英国の培養肉メーカーMeatlyが、植物性ペットフードのブランドTHE PACKと提携し、培養鶏肉を使用した世界初のペットフード「Chick Bites」を発売しました。
ロンドンの店舗で数量限定発売
従来の犬用スナックに代わる「Chick Bites」は、植物由来の原材料とMeatlyの培養鶏肉を組み合わせたハイブリッド製品。今月7日からロンドン・ブレントフォードの「Pets at Home」で、750袋限定で販売されています。50gのパウチ入りで価格は3.49ポンド（約660円）。
450店以上を展開する英国のペットショップチェーンPets at Homeは、Meatlyへの最大の出資者の一つでもあり、これによりMeatlyは、培養肉を含んだペットフードを市場に送り出した世界初の企業となりました。
Meatlyは昨年末に新たな調達ラウンド（金額は非公開）を完了し、dsm-firmenich Ventures、JamJar Investments、Joyful Venturesからの資金と、Pets at Homeからの追加投資も獲得したと発表。今後数年間で生産を拡大するため、早くも新たな調達を計画しており、THE PACKやPets at Homeとのさらなるコラボレーションも予定されています。
植物性ペットフードを専門とするTHE PACKも昨年成功を収め、上半期には2023年同期比で41％の成長を報告していました。定期的な購入を行うD2Cの顧客が200人を超え、さらなる事業拡大のためクラウドファンディング・キャンペーンも開始しています。
共同創業者でCEOを務めるDamien Clarksonは、「Chick Bitesの発売は、ペットフード業界にとって画期的な出来事だ。培養肉は美味しく、低炭素で健康的なタンパク源を提供し、ペットフード業界から畜産動物を排除する可能性を秘めている」とコメントしました。
問題視されるペットフードの環境負荷
Meatlyの培養鶏肉は昨年7月、英国政府からペットフード用途で初の認可を取得。その後行われた犬への給餌試験で安全性が確認され、副作用は報告されませんでした。75％の犬が、従来どおりの食事よりもMeatlyのフードを好んだといいます。
同社によると、現在英国で消費されている食肉の22％がペットの食事となっており、これに由来する温室効果ガス排出もかなりの量。国内でペットとして最も人気のあるラブラドールは、飼い主よりも60％多い年間7,000万kgの肉を消費しています。
ペットフードを購入する消費者のインサイトとして、年齢層を問わず58％が、持続可能性への懸念から製品やブランドを切り替えた経験があるとのこと。54％はより環境に配慮した商品に高い金額を支払っても構わないと考えているという調査結果も存在し、今後一層の成長が期待できる市場です。
培養ペットフード開発各社の動向
Meatlyは以前、英国で急成長を見せている別のヴィーガンペットフードメーカーOmniと提携し、培養キャットフードを開発していました。昨年の認可取得にあたりドッグフードへと方向転換していましたが、現在、猫への給餌試験も実施を計画しているとのことです。
培養ペットフードの分野では、昨年各社に進展が見られました。CULT Food Scienceは「Noochies!」ブランドの販売認可を求めて米国食品医薬品局（FDA）への申請を行うとともに、必要な給餌試験実施に向けた手続きを開始。
Friends & Family Pet Food Co.は、米国とシンガポールでの発売に向け細胞農業スタートアップと提携し、2025年の製品化を目指しています。
BioCraft Pet Nutritionは培地コストを削減して、従来の高級ペットフードと同程度の価格を実現したと発表。Bene Meat Technologiesは、ライフサイクルアセスメントを実施して培養牛肉に対する優位性を証明したほか、培養の元となる細胞を長期的に供給できる最先端の細胞バンクを立ち上げました。
参考記事：
THE PACK Launches The World’s First Dog Treat Containing Cultivated Meat
World’s first cell-cultivated meat dog treat goes on sale in store in the UK – Tech.eu
A Global First: Cultivated Dog Treats Hit UK Shelves As Consumers Seek Sustainable Pet Food
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