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新開発のメタマテリアルと射出成形を用いて、低コストの代替肉を製造 —エルサレム・ヘブライ大学

エルサレム・ヘブライ大学の組織工学研究チームが、先進的なメタマテリアル(自然界にはない特性を持った人工材料)を用いてホールカット肉を製造する新たなアプローチを開発しました。

この技術は、伝統的な食肉の構造と食感を再現するという長年の課題に取り組むと同時に、現在の3Dプリンティングを大幅に上回るスケーラブルな製造を可能にするもの。『Nature Communications』誌に研究結果が掲載されています。

2種類の新素材でホールカット肉を再現


Mohammad Ghoshehと教授のYaakov Nahmiasが率いる研究チームは、航空宇宙工学の原理を活用して、2種類のメタマテリアルを開発しました。

1つは筋組織が持つ繊維状のテクスチャーを模倣した、低温押出成形により作られる「LTMA(low-temperature meat analog)」で、もう1つは植物性タンパク質を安定化させ、動物脂肪の完全な構造と調理時の挙動を再現する「PtoG(proteoleogel)」。

この2種の組み合わせにより、複雑な構造を持ったステーキなどのホールカット肉を、正確に再現することが可能です。

Nahmiasは、「フードテック分野におけるメタマテリアルの未開拓の可能性を示すことができた。この素材のユニークな構造特性を利用することで、環境への影響を緩和しながら世界的な食肉需要の増大に対応する、持続可能で拡張性のあるソリューションの開発に成功した」とコメントしています。

低コストと美味しさを両立


実際の代替肉の製造にあたり射出成形を用いた研究チームは、製造コストを3Dプリンティングの4分の1近い、キロ単価約9ドル(約1,400円)にまで削減できると予想。

3Dプリンティングによる食品製造は時間とコストがかかるため、商業用途への拡張性が制限されると批判されることも多くありました。

射出成形の採用が大手の食品メーカーにとって実行可能な選択肢となれば、環境に優しく持続可能な代替肉が、より幅広い層の消費者にとって手頃に入手できるようになると期待できます。

また、研究中に実施された味覚を用いるブラインドテストでは、参加者は従来のステーキ肉との区別がつかなかったといい、新たな代替肉の味の面での魅力も実証されました。

世界の食肉消費量の半分以上をホールカット肉が占めているにもかかわらず、代替肉の開発では技術的な制約からひき肉ベースの製品が主流となっているのが現状。消費者の受容性を高めるには伝統的な食肉の味の再現が不可欠なことを考えると、この進展は極めて重要です。

参考記事:Crafting the Perfect Bite of Meat | en.new.huji

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