Earth First Food Venturesが、米国初のラクトフェリンを生産する精密発酵施設の立ち上げ計画を発表

フードテック分野におけるESG投資・インパクト投資に特化したベンチャーキャピタルEarth First Food Ventures(以下、EFFV)が、精密発酵ラクトフェリンの生産に特化した米国初の施設「PFerrinX26」の建設計画を発表しました。

原料へのアクセスと規制の枠組みが立地の決め手に


この施設は、免疫機能のサポートや腸の健康といった多くの分野で重要視される乳タンパク質の一種、ラクトフェリンの世界的な供給不足に対処することを目的としたもの。

EFFVは、将来的にはβ-ラクトグロブリン(BLG)などほかの乳タンパク質生産も視野に入れていますが、当初は市場価値の高いラクトフェリンに注目しています。

米国での施設立ち上げは、革新的な食品技術にとって有利な環境を考慮した上での戦略的判断。イノベーションを支援するインフラと規制の枠組みがより整っている米国市場で、精密発酵による代替乳製品の規模を拡大することを目標としています。

EFFVの共同創業者でCFOを務めるRicardo Radwanskiによると、この施設は年間50トンの生産能力を持ち、微生物を発酵させる上で唯一にして最大の投入物となるブドウ糖(デキストロース)が豊富に得られる、米国中西部に位置する予定です。

精密発酵業界が直面する障害の克服に期待


ラクトフェリンは牛乳に少量含まれるタンパク質で、抗菌・抗ウイルス・抗炎症作用などで知られ、ウェルネス、製薬、食品など多くの分野で求められてきました。

これだけの需要を抱えながらも、希少なため世界生産量は年間850トン(生産施設は45カ所)に過ぎず、通常キロ単価600〜1,500ドル(約9〜23万円)で取引される高価な原料となっています。

「PFerrinX26」では、従来の酪農生産より持続可能で倫理的な代替手段となる精密発酵の技術でラクトフェリンを生産し、この供給不足に対処する狙い。EFFVは、最終的には年間最大200トンまで生産能力を引き上げ、低コストでより信頼性の高いタンパク質の供給に貢献したい考えです。

また、第三者との委託製造契約に頼るのではなく、完全に自社所有の施設として設けることで、生産品質とコスト効率のコントロールを高める狙いも。

現在の精密発酵業界が直面している、限られた生産能力、消費者受容の拡大、世界各地で異なる規制といった障害の克服に期待がかかります。

参考記事:
Earth First Food Ventures Launches US’s First Precision Fermentation Facility for Lactoferrin
New player on lactoferrin block plans precision fermentation site in the Midwest

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