米GOOD Meatが約6.6億円を支払い、契約を巡るサプライヤーとの紛争解決で合意

米Eat Justの子会社で培養肉の開発を手掛けるGOOD Meatが、バイオリアクターのサプライヤーABECとの法廷闘争を終結させるための和解の一環として、ABECに440万ドル(約6億5,600万円)を支払うことで合意に達しました。
2年間続いた紛争が終結
『AgFunderNews』の報道によると、今月11日、この問題を担当していたWendy Beetlestone判事がいくつかの問題でABECを支持し、その他の問題ではGOOD Meatに有利な判決を下したことを受け、両当事者が弁護士費用を負担し紛争を終結させるという内容の和解契約が結ばれました。
この紛争は2023年3月、GOOD Meatが請求書の支払いを怠ったとして、ABECが契約不履行の訴訟を提起したことにより始まったもの。
ABECによると、GOOD Meatには6,200万ドル(約92億4,000万円)を超える支払い義務があったとのこと。これに対してGOOD Meatは、ABECの側に契約条件への違反があったと主張していました。
訴訟に至るまでの経緯
ABECは、2021年8月にGOOD Meatとの契約を締結し、鶏肉を培養する取り組みを開始。この7年間の契約では、ABECが米国内の大規模施設で「鳥類細胞と哺乳類細胞を培養する最大のバイオリアクター」とされる25万リットルのタンクを複数設計し、製造、設置、試運転を行うこととされていました。
その後、資金調達面のハードルを考慮し、2022年11月までにGOOD Meatは段階的アプローチを採るよう修正を提案。当初予定していた25万リットルのバイオリアクター4基を、12万5,000リットルのバイオリアクター5基に見直し、両者は契約の改定を巡るやり取りを開始しました。
しかし、GOOD Meatによるとこの改定は両者間で正式に定められたものではなく、ABECが単に正式な決定事項として手続きを進めただけだとして、ABECの未払い請求に反論しています。
今後の方向性について
Eat Justの創業者でCEOのJosh Tetrickは、今は培養肉の大規模工場のための資金集めは行っておらず、カリフォルニア州アラメダにあるパイロットプラントでのプロセス開発と、より効率的な大規模生産を可能にする新たな細胞株の開発に注力していると語っています。
同社の製品は現在もシンガポールのHuber’s Butcheryで販売されていますが、消費者に直接届けるという点では効果があるものの、赤字の商品を小規模で販売し続けるメリットは小さいとのこと。
培養肉が現実のものとなるには、1億ドル(約149億円)程度をかけた大規模な生産施設を建設する必要があり、目下それを可能にするシステムの構築に専念しているといいます。
参考記事:
ABEC, INC v EAT JUST, INC et al | 訴訟文書
Breaking: Eat Just/GOOD Meat to pay ABEC $4.4m to settle legal dispute
Eat Just and ABEC reach ‘agreement in principle’ to settle legal dispute
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