BioCraft Pet NutritionがEUでペット用培養マウス肉の販売登録を完了、メーカーへの原料供給が可能に

ペットフード向けの培養原料を開発する米国のBioCraft Pet Nutritionが、欧州連合(EU)全域での販売に必要な登録手続きを完了したと発表しました。

欧州での販売が可能な体制を確立


BioCraft Pet Nutritionの共同創業者でCEOを務めるShannon Falconerによると、同社は消費者に直接販売するという考えはなく、ペットフードメーカーへの原料供給を行う法的義務をすべて果たしているとのこと。

EUでは現在、ペットを含む動物飼料原料の市販前承認プロセスはありませんが、企業は原料の安全性を保証する法的要件を満たした上で登録事業者となることが求められます。

ウィーンに研究所を構えるBioCraft Pet Nutritionは、EUの規則に従いカテゴリー3の動物副産物(ABP)を使用する施設としての登録を、オーストリア当局から認められたと発表。また、欧州飼料原料登録機関(European Feed Materials Register)への登録を済ませ、ペットフードメーカーに培養マウス肉を販売できる状態が整いました。

2023年にはチェコのBene Meat TechnologiesがEU初となる培養原料の登録を実施しており、それに続く2件目となります。

3年の歳月をかけた安全性試験


BioCraft Pet NutritionがEUへの登録申請を実施したのは昨年8月ですが、それに先立ち、安全性と栄養プロファイルを検証するための3年間にわたる厳格な試験を行っていました。

これには、細胞株の完全な遺伝子分析、製品を構成する各成分の毒性評価、成分の広範な栄養プロファイル評価、HACCP計画の作成などが含まれます。

同社は、獣医学、食品安全、食品科学における社内および第三者機関の専門家からなるチームを結成し、EUの定める要件に基づいて培養原料の安全性データを作成。

培養マウス肉は、不死化されておらず、安定した非遺伝子組み換えの細胞を用いて生産され、細菌やウイルス、マイコトキシン、カビ、酵母を含まないことが研究で確認されました。また、生体アミンや重金属も含まれていません。

Falconerは、「当社はサプライチェーン全体にわたって厳格な品質管理措置と透明性を確保しており、代替プロテイン生産における安全性に関しては業界最高水準だ」と述べています。

大手メーカーと共同で製品化を計画


培養マウス肉のスラリーは、従来のスラリーの1対1の代替品として、ウェットフードまたはドライフードの原料に使用することが可能。

第三者機関の調査では、タウリン、リジン、メチオニン、トリプトファンの含有量が鶏肉のスラリーと同レベルであり、オメガ3・6脂肪酸の比率も優れているとの結果が出ました。

BioCraft Pet Nutritionは昨年、植物由来の培地を再利用する手法の開発に伴い、原料の販売価格を1ポンドあたり2~2.5ドル(キロ単価662〜827円)まで下げることに成功したと発表

2026年初頭までに、ペットフードブランドとの共同で培養肉製品を発売する計画としていました。現在、ハンガリーに本社を置く大手メーカーのPartner in Pet Food(PPF)と協業の検討を進めている最中です。

参考記事:
BioCraft Pet Nutrition Gets EU Registration to Sell Cultivated Mouse Meat for Dogs & Cats
BioCraft wins EU registration for cell-cultured ingredients in pet food

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