スピルリナをベースとしたSimpliiGoodのスモークサーモンがEUの規制をクリア、半年以内に小売り展開へ

イスラエルに拠点を置くAlgaeCore Technologiesの子会社で微細藻類ベースのタンパク質製品を製造するSimpliiGoodが、スピルリナのEUにおける規制をクリアし、代替スモークサーモンの商業生産に向けて前進したと発表しました。
年間数百トンの商業生産に移行
SimpliiGoodは、製品の主要原料である微細藻類スピルリナについて、欧州食品安全機関(EFSA)から「非新規食品原料」としての認可を取得。
同時に、政府機関のイスラエル・イノベーション庁(Innovation Authority)から400万ドル(約5億6,700万円)の助成金を獲得し、欧州とイスラエルで試験生産を行っています。
本格的な工場ラインの立ち上げにより、同社は「Simplii Texture」ブランドのスピルリナの商業生産に移行。スモークサーモンの代替品として期待される需要を満たす、年間数百トンの原料を生産できるようになりました。
同社は1kgのスピルリナを原料に、3~4kgの植物性スモークサーモンを製造。押出成形や3Dプリンティングのような複雑なプロセスは必要なく、その代わりに原料を組み合わせ、パスタマシンのような機械に通すことで成形します。
半年以内に小売りでPB品展開へ
代替スモークサーモンの製造には、知的財産権で保護された2種類の技術が使われています。
まず、脱色工程でスピルリナから緑色のクロロフィルを分離し、残ったカロテノイドでサーモンの淡いピンク色を再現。副産物の栄養豊富なクロロフィルは、サプリメントや天然の食品着色料に活用されます。
次に、組織化技術により、クロロフィル分離後のスピルリナを水分を豊富に含んだテクスチャード植物性タンパク質(textured vegetable protein:TVP)に統合。これにより、スモークサーモンの光沢のある仕上がりを再現しながら、繊維質の構造を作り出します。
最終製品は最大70%のタンパク質に加えて、鉄分やβ-カロテンなどの栄養素を豊富に含んでいるとのこと。スピルリナ含有量は顧客の好みに合わせて40%〜100%の間で調整でき、その他の原材料としては米粉、タピオカ、油、香辛料などを使用しています。
SimpliiGoodによると、このプロセスは最も伝統的な生産ラインにもシームレスに組み込むことができ、食品メーカーの代替プロテイン業界への参入を支援。最初のスモークサーモンは、今後6カ月以内にプライベートブランド品として小売店の店頭に並ぶ予定です。
供給が脅かされるサーモンの代替品

スピルリナは成長スピードが速く、24時間ごとに収穫できる効率性が魅力。AlgaeCore Technologiesでは、培養過程で使用する水の98%以上をリサイクルするシステムを築いています。
SimpliiGoodは2022年、スピルリナをベースにしたクリーンラベルの代替スモークサーモンを開発中と初めて発表。
昨年初めには、肉や魚の食感を模倣した、スピルリナ由来のフィラメント(筋繊維を模した構造物)を披露しました。
これまでにベンチャーキャピタルのNFXを含む投資家から、1,900万ドル(約26億9,000万円)超のシード資金を調達。当初は欧州をターゲットにしていますが、米国における「Simplii Texture」の認可申請も進めています。
AlgaeCore Technologiesの共同創業者でCEOのLior Shalevは、「サーモンの乱獲が危機的状況にある中、スピルリナをベースとした代替品を商業展開する準備が整った。本物のサーモンと同じ見た目、口当たり、素晴らしい風味を備えたこの製品は、すでに高い評価を得ており、市場シェアを獲得できる可能性を示している」とコメントしています。
参考記事:
Simpliigood’s Spirulina-Based Smoked Salmon Approaches Commercialization Following $4M Grant & EU Regulatory Clearance
A New Wave: Spirulina Smoked Salmon Goes Commercial – Perishable News
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