オランダの鶏肉大手Plukonが、代替肉を手掛けるスタートアップ企業Vega Insidersを買収

欧州最大の鶏肉加工業者の一つであるオランダのPlukon Food Group(以下、Plukon)が、代替プロテインのポートフォリオを強化するべく、地元の植物性代替肉スタートアップVega Insidersを買収しました。
Plukonの代替プロテイン分野における成長戦略の一環で、植物由来製品の開発に関する専門知識の統合を加速させる一手となります。
目標としていた植物性食品の専用施設を確保
食品業界で複数のポートフォリオを抱えるZilverwerf Groupにより2021年に設立されたVega Insidersは、外食・小売業界向けに植物由来の製品を幅広く供給してきました。
主力はソラマメと米デンプンを原料にした植物性ベーコンのブランド「Grunchy」で、そのほかにもミンチ、ケバブ、ファラフェルといった多様なタンパク源を組み合わせた冷凍製品を展開。
オランダ南部に保有する製造施設には、潜在的な顧客に試食提供を行う体験センターを設置しており、ほかのブランドの自社製品開発を支援するサービスも提供しています。
買収の取引条件は明かされていませんが、Vega Insidersはブランド名を変えずに営業を継続し、全従業員の雇用も維持されるとのこと。
同社を創業したZilverwerf GroupのオーナーMart Beniersは、「会社にとって持続可能な未来を探していた」ところPlukonに同じ価値観を持つパートナーを見つけたといい、「Vega Insidersを適切な手に委ねられたと確信している」と語っています。
Plukonは欧州の7カ国で鶏肉製品を中心に展開しており、従業員数は1万名以上。2024年の売上高は34億ユーロ(約5,760億円)でした。製品ポートフォリオを広げるべく代替プロテイン製品の開発にも着手し、英国企業ENOUGHのマイコプロテイン製品「Abunda」を原料に使用しているようです。
CEOのKees Kraijenoordは、「この買収は当社の戦略にぴったり合致している。製品の多様性と代替プロテイン分野のイノベーション能力を強化できるだろう」とコメント。また、「Plukonは以前から、植物由来の製品に特化した製造拠点を保有する目標を掲げてきた。今回の買収により、その目標が現実となり、100%プラントベースの環境で生産を拡大できる」と述べています。
代替プロテインへの関与を強める食肉大手の動き
大手の食肉会社は、タンパク源の多様化を図りつつ気候影響を低減するため、代替プロテイン分野での投資と買収を継続しています。
最近の動きとしては、ドイツの食肉加工大手Tönnies GroupがNosh Biofoodsに投資し、菌糸体をベースにしたクリーンラベル製品を共同開発。鶏肉大手のPHW Groupは、同じくマイコプロテインを手掛けるスタートアップKyndaの資金調達ラウンドに参加しました。
イタリアのGruppo Tonazzoは、136年の歴史を持つ食肉事業から完全に撤退して、植物性食品事業に専念すると発表。
ユニリーバは、保有していた植物性代替肉ブランドの「The Vegetarian Butcher」を、世界最大規模の食肉生産会社JBS傘下のViveraに売却することで合意に至っています。
米国では、乳製品大手のChobaniが植物由来のスムージーやスナックを展開するDaily Harvestを買収。フランスのダノンも、植物由来の子供向け栄養製品ブランドKate Farmsの買収で合意しています。
参考記事:
Dutch Poultry Giant Plukon Acquires Meat-Free Startup Vega Insiders
Plukon acquires Vega Insiders to expand alternative protein capabilities | PPTI News
Meat major Plukon buys vegan business Vega Insiders
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