英国のテンペブランドBetter Natureが約2.2億円を調達、直近の四半期で過去最高の売り上げを記録

大豆を発酵させた食品「テンペ」で鶏肉の代替を目指す英国発のブランドBetter Natureが、2025年第2四半期に過去最高の売り上げを記録した後、110万ポンド(約2億1,800万円)の資金調達を成功させました。
英国一のテンペブランドとしてカテゴリーを牽引
今回調達した資金は主にエンジェル投資家からのもので、その70%は既存株主とのこと。Better Natureは、この資金により販売とマーケティングの取り組みを加速させ、高タンパクで腸に優しい選択肢としてのテンペ製品の魅力を広める狙いです。
調達額は比較的少額にとどまりましたが、これは代替プロテイン業界を巡る直近の投資状況を反映したもの。2025年上半期の資金流入額は、前年同期比で49%減少し、植物性食品企業が2025年第2四半期に受けた資金はわずか2,700万ドル(約39億9,000万円)*に過ぎませんでした。
そんな中でもBetter Natureは、同四半期に売上高を128%増加させ、2020年に市場にデビューして以来の最高額を記録。
2018年に同社を共同創業したメンバーの一人Elin Robertsは、「当社は現在、市場シェア38.1%を誇る英国一のテンペブランドであり、目覚ましい成長を見せる同カテゴリーを牽引する存在となっている」と語りました。
共同でCEOを務めるRobertsとChristopher Kongは今年、『フォーブス』誌が毎年発表している、世界を変える「30歳未満の30人」に選ばれています。
* 米国の代替肉大手Beyond Meatが融資として受けた金額(1億ドル)を除いてカウント。
鶏肉の優れた代替品としてのテンペ

インドネシアの伝統的な発酵食品「テンペ」は、近年西洋諸国でも人気を博してきました。Better Natureの製品ラインアップは5つのSKUで構成され、英国各地の小売店のほかAmazonでも取り扱いがあり、ドイツでも1,300以上の店舗で販売中です。
同社は、超加工食品(UPF)への反発が植物性代替肉の売り上げに打撃を与え、業界の勢いを停滞させている現状を逆手に取り、テンペを鶏肉に勝るクリーンラベルのタンパク質と位置付けています。
CEOのRobertsは「消費者が敬遠している原材料や工程なしに、鶏肉を完全に再現するのは不可能」といい、同社もそこを目指しているわけではないと強調。
テンペは、素朴な風味やしっかりとした食感、タンパク質含有量が多いことなどから、ほとんどの料理において鶏肉の優れた代替品となる上、豊富な食物繊維、腸内の健康、賞味期限の長さといった利点ももたらすといいます。
このアプローチにより、同社は昨年、英国で2番目に急成長したミートフリーのブランドとなり、売り上げは457%拡大しました。
今年はレシピを見直し、タンパク質含有量を1パック200gあたり38gから44g(卵6個分、鶏胸肉1.3羽分に相当)へと増加させています。
ドイツでも、2025年第2四半期の売り上げは前年同期比で330%増加。英国にとどまらずテンペ市場をリードする企業となったほか、隣国のオーストリアにも進出し、年内にもう2つの地域での発売を控えています。
参考記事:
Better Nature Raises £1.1 Million To Accelerate International Tempeh Sales
Better Nature Raises $1.5M to Fight Chicken with Tempeh After ‘Best-Ever’ Quarter
Better Nature secures £1.1m in funding to accelerate tempeh growth | FoodBev Media
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