フランスの培養肉企業GourmeyがVital Meatを買収、新会社PARIMAの設立で新たなスタートを切る

フランス・パリに拠点を置く培養肉企業Gourmeyが同業のVital Meatを買収し、新会社PARIMAの設立を発表。2種類の培養タンパク質製品について規制当局の承認を得る初の企業を目指し、新たなスタートを切りました。
申請中のポートフォリオは合わせて9件に
代替プロテイン分野における統合の最新の動きとして、共にフランスを拠点とする2社の、生産や規制対応に係る技術とノウハウが統合されました。
Gourmeyは培養フォアグラ、Vital Meatは培養鶏肉の生産プラットフォームを有しており、両社合わせて世界各国・地域の規制当局へ9件の認可申請を行っています。
新会社PARIMAのCEOには、Gourmeyの共同創業者でCEOを務めていたNicolas Morin-Forestが就任。Vital MeatのチームはそのままPARIMAに合流し、共同創業者のEtienne Duthoitも役職に就きます。
Morin-Forestによると、「Gourmeyはグループの料理ブランドとして、プレミアム製品、シェフとのコラボレーション、そして世界の一流レストランやホテルにサービスを提供する流通業者との協働に引き続き焦点を当てる」とのこと。
PARIMAが複数の動物種と用途に拡大していく中で、「一流レストランからの需要は主要な差別化要因であり続けるだろう」とコメントしています。
フランス国内の生産能力も統合へ
Gourmeyは、従来のバイオ医薬品用に開発された技術を、食品グレードでコスト効率の高いプロセスに置き換え、生産コストを1ポンドあたり3.43ドル(キロ単価約1,140円)まで削減できると示しました。
現在、パリ中心部にイノベーションセンターとパイロット施設を運営しており、400リットルのバイオリアクターを複数稼働させているほか、5,000リットルの発酵タンクを備えた専用設備も保有しています。
今年6月には、AIのスペシャリストDeepLifeと提携して、世界初とされる鳥類細胞のデジタルツインを開発。細胞培養プロセスを仮想モデル上で再現し、成長条件、栄養密度、風味の発現の最適化を目指しています。
同社は昨年、培養肉企業としては初の欧州連合(EU)への申請を含む、5地域での同時申請を実施。今後数カ月以内に最初の(シンガポールと予想される)認可が得られる見込みです。
一方のVital Meatは、世界的な動物遺伝学の権威であるGroupe Grimaudの約25年にわたる鳥類細胞の研究で開発された細胞株技術を用いて、培養鶏肉を生産しています。
2023年末にシンガポールで、2024年夏に英国で認可申請を行い、その数カ月後にはシンガポールのレストラン「Hue」で一般向け試食イベントを開催しました。
生産面では、フランス西部のナント近郊にパイロットプラントを有し、2,000リットルのバイオリアクターを稼働させています。この施設は、買収後もGourmeyの施設と同様に稼働を継続。Morin-Forestは「統合後のバイオリアクター総容量は数千リットルに達する」としています。
参考記事:
Cultivated meat merger: Gourmey buys Vital Meat
Cultivated Consolidation: France’s Gourmey Acquires Vital Meat to Form Parima
Gourmey and Vital Meat merge to form PARIMA | New Tech Foods
Gourmey acquires Vital Meat to form PARIMA, a new global leader in cultivated poultry and next-generation animal proteins | PPTI News
この記事へのコメントはありません。