オーツミルク大手のOatly、2025年第3四半期で上場後初のEBITDA黒字を記録

オーツミルクを手掛けるスウェーデンのOatlyが、2025年第3四半期に上場以来初めてとなる黒字を記録したと発表しました。

米国で売り上げ減が見られた一方、欧州での安定した成長と大中華圏セグメントの好調な売り上げが好業績の主要因に。Z世代をターゲットとした展開戦略による成果とされています。

粗利率を改善し、販管費も削減


Oatlyの2025年7~9月の売上高は2億2,280万ドル(約343億円)に達し、前年同期比7.1%増で過去最高を記録。為替変動の影響を除いた実質収益ベースでも3.8%の成長となりました。

本業の収益力の目安となる調整後EBITDA(営業外費用および一時的費用を除く収益)は310万ドル(約4億7,800万円)となり、前年同期のマイナス500万ドルから大きく改善。これは主に粗利益が7%近く増加したこと、ならびに研究開発費、販売費および一般管理費の減少によるものです。

同社がIPO(新規株式公開)を実施したのは、4年半前の2021年5月。それ以来初となる、四半期通してのEBITDA黒字を達成しました。

とはいえ、最終損益としては6,530万ドル(約101億円)の純損失を計上しており、前年同期比で約2倍に拡大しました。これは主に転換社債の評価損に起因するとされています。

OatlyのCEOを務めるJean-Christophe Flatinは、「黒字化は最終的なゴールではなく、進捗と信頼性を示す重要なマイルストーンであり、そして将来の黒字成長に向けた基盤となるものだ」とコメント。Flatinは3年前に同社に加わって以来、売上高を20%増加させてきました。

「当社の行く道には大きな可能性が広がっており、持続可能で拡張性のある成長に向かって、正しい方向へ進んでいると確信している」と語っています。

欧州では外食・小売り共に成長


Oatlyは事業を地域別に欧州&インターナショナル、北米、大中華圏の3セグメントに分割しており、2025年第3四半期は欧州&インターナショナルセグメントの売上高が12%増の1億2,330万ドル(約190億円)。販売数量は8.4%増加しました。

前四半期と同様、この地域での売り上げの大部分(79%)は小売りチャネルから生み出されたものです。

欧州での好業績について同社は、関連性(消費者が自分との結び付きを感じる程度)の強化、購買障壁の解消、流通拡大を目指す新戦略が奏功したと説明。

特にドイツでは、同社が作成した「ルックブック」に着想を得たドリンクを導入するカフェが増加し、Z世代への普及に一役買って外食・小売り共に大きく成長しました。

COOのDaniel Ordonezは、「味にこだわるZ世代に向けた関連性を高めるべく顧客企業と提携を進めている」として、60名以上のバリスタ市場開発担当者が、トレンドを先取りして外食産業のメニュー刷新を図っていると説明。

「これにより認知度が大幅に高まり、消費者が試してみる機会が生まれるため、まず外食産業での成長が見られ、その後小売業に波及する」と述べました。

Oatlyの外食チャネルの業績は昨年末から加速しており、第3四半期には前年比28%増を記録。一方の小売りチャネルは、2025年上半期には4%の成長率だったのが、第3四半期には11%に上昇し、植物性ミルクカテゴリー全体の成長率を上回りました。

大中華圏では戦略見直しが奏功


大中華圏セグメント(中国本土・香港・マカオ・台湾)では、数年にわたる苦戦が続いていたため、今年戦略面の見直しを実施。その結果、売上高は29%増の3,740万ドル(約57億6,000万円)となり、3分の2は外食チャネルが占めていました。

CEOのFlatinは、「戦略的見直しは継続中で、成長加速と事業価値最大化を目的とした事業の分離を含むさまざまな選択肢を評価している」と述べています。

一方、北米セグメントでは植物性食品カテゴリー全体の動向を反映して、引き続き苦戦中。Flatinは代替ミルクの販売減少について、消費者がサステナビリティに無関心なことと「過剰なグリーンウォッシュ」が原因と指摘しました。

2025年第3四半期の売上高は、10%の減少となる6,210万ドル(約95億6,000万円)。販売数量は12.8%減少し、これはセグメント最大の顧客企業への販売減と、冷凍製品の一部製造中止によるものとされています。

Ordonezは基盤にある一定の成長を指摘し、仮に先述した逆風の影響を除けば、第3四半期の売上高は5%増加、2025年の初めからでも4%増加しているとのこと。最大顧客の影響も、3年前は事業全体の30%を占めていましたが、現在は10%に過ぎません。

米国市場はより複雑であり、欧州ほどの急速な成長は見込めないとしながらも、「期待する業績の達成には確固たる決意で臨んでいる」と強調。「現地事情に即した適切な戦略の段階的な展開により、北米でも力強く収益性の高い成長を牽引できるだろう」としています。

参考記事:
Oatly Records First Profitable Quarter Since IPO, As European Growth Offsets US Slump
Oatly Group AB (NASDAQ:OTLY) Third-Quarter Results Just Came Out: Here’s What Analysts Are Forecasting For Next Year – Simply Wall St News

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