デンマークのChromologics、発酵由来天然色素の市場投入に向け約12.7億円の資金調達を完了

デンマーク・コペンハーゲンに本社を置くChromologicsが、発酵由来の天然食品着色料「Natu.Red」の規制承認と商業化のプロセスを加速するため、700万ユーロ(約12億7,000万円)の資金調達を実施したと発表しました。
EU・米国で規制認可の取得へ
今回の投資は、Novo Holdings(製薬大手ノボ ノルディスクの親会社)、デンマーク輸出投資基金(EIFO)、Döhler Ventures、Collateral Good Ventures、およびSynergeticから行われたもの。2023年のシードラウンドと合わせ、Chromologicsの累計調達額は2,000万ユーロ(約36億3,000万円)近くに達しました。
同社は新たな資金により、欧州食品安全機関(EFSA)および米国食品医薬品局(FDA)への認可申請を完了させられる見込み。さらに、製品化に向けた動きと、大規模発酵インフラへのアクセスを提供する受託製造企業(CMO)との提携による生産拡大も進め、パイロットスケールから商業生産への移行を目指す計画です。
デンマーク工科大学(DTU)のスピンアウト企業である同社は、2020年よりNovo HoldingsとEIFOの支援を受けています。両投資家は、バイオテクノロジー由来の天然色素に対する市場の需要に継続的な信頼を寄せ、創業以来8年間でChromologicsが遂げた進展を高く評価。
Novo HoldingsのThomas Grotkjærは、「規制承認を得られれば事業を急速に拡大できる可能性が示されており、Chromologicsの技術と戦略が天然食品着色料の市場環境に大きな影響を与えると確信している」と述べています。
安定供給を叶えるクリーンラベルの代替品
合成食品着色料に対する監視の目が強まり、米国では今年赤色3号の使用が禁止となる中、食品・飲料メーカーの間では、耐熱性とpH安定性に優れ、クリーンラベルを実現する代替品への需要が高まる一方です。
天然の代替品では供給が不十分であり、完全な持続可能性も欠いているのが通常ですが、Chromologicsは「Natu.Red」を、季節や気象条件、土地利用といった変動要因に依存しない、ヴィーガン対応の高性能ソリューションと位置付け。
植物由来の色素を抽出する従来の手法と比べて、精密発酵による色素生産は必要な土地と水が大幅に少なく済み、かつ安定した品質を維持できる点が特長だといいます。
同社は2021年以降、欧州と米国で90社を超える食品企業と共同試験を実施し、多様な用途における精密発酵色素の性能を検証してきました。これらの試験では、飲料・菓子類から植物性食品に至る幅広いカテゴリーにおいて、安定性、含有率、製品挙動に関する知見が得られています。
CEOのGerit Tolborgは、「バイオものづくりは食料サプライチェーンの安定化に不可欠であり、この取り組みにはイノベーションの現実を理解する忍耐強い投資家が求められている。既存株主からの支援は、当社の技術と商業的な可能性の双方に対する確信を裏付けるものだ」とコメントしました。
バイオテクノロジーを駆使して代替色素の開発を進めるその他のスタートアップ企業には、Chromologicsと同じ精密発酵の手法により赤色色素を生産するMichromaや、独自の酵素を活用するDebut Biotechnologyなどがあります。
参考記事:
Chromologics raises €7 million to bring its natural colour ingredients closer to market
Chromologics secures €7 million to advance fermentation-derived natural colors toward market launch | PPTI News


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