英・ノッティンガム大学、バイオリアクターの内部をリアルタイムで可視化するベンチャー企業「BioSee AI」を立ち上げ

英国のノッティンガム大学が、産業バイオテクノロジーにおける最も根深い運用上の課題の一つである、バイオリアクター内部のリアルタイムな可視化に取り組むことを目的としたベンチャー企業「BioSee AI」を立ち上げました。
生産プロセスの問題を即時に検出し、安定した収率を確保
新しい人工知能(AI)プラットフォーム「BioSee AI」は、バイオテクノロジー企業がプロセス上の不具合を早期に検知し、生産工程における廃棄物を削減できるよう支援する目的で開発されました。
開発を手掛けたのは、ノッティンガム大学化学・環境工学科のOliver FisherとAsma Ahmed。このシステムは、超音波と光学センシングをマルチモーダルの機械学習モデルと組み合わせることで、発酵をはじめとするさまざまなバイオ生産における生物学的プロセスを継続的に分析するものです。
特に中小規模のバイオテクノロジー企業を対象とした、低コストで非侵襲的なモニタリングソリューションとして設計されており、代替プロテイン生産、醸造、廃棄物の有効利用、バイオ栄養、バイオ燃料、その他の工業用バイオプロセス分野で活用できます。
多くの産業用発酵プロセスは依然として、定期的な手動サンプリングとプローブから得られる間接的なデータのラボ分析に頼って、リアクター内部で何が起こっているのかを推測するのが通常。ただしこの方法では、問題が即時に検出されないケースが少なくありません。
汚染や細胞凝集、製品品質の変化の検出が遅れると、数千万〜数億円にも相当する大量のバッチが無駄になってしまう恐れもあります。
これに対して「BioSee AI」は、生産プロセス中の生物学的・構造的パラメータの継続的なモニタリングを実施。この機能によりパラメータからの逸脱を早期に検出し、収穫時期を最適化して、収率の安定性を向上させることが可能になるといいます。
2〜3年以内に産業規模のパイロット試験実施へ
このプラットフォームの特長の一つは、企業が独自のプロセスデータを共有する必要なく、複数の導入拠点をまたいでパフォーマンスを向上させられる点。
モジュール式で既存設備への後付けにも対応できるよう設計されているため、大規模な改造なしに導入が可能で、高価な分光モニタリングシステムと、限られた情報しか提供できない簡便なプローブベースの分析ツールとの間のギャップを埋める狙いがあります。
「BioSee AI」の開発は、英国政府が運営する工学・物理科学研究会議(EPSRC)と、バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)が支援する国立代替プロテインセンター(NAPIC)の支援を受けて進められました。
また、業界のパートナー企業であるBioPowers TechnologyおよびAlgaeCytesとの共同開発にも着手しており、真菌のバイオマス発酵や藻類のバイオプロセスといった、実際の環境におけるシステムの検証を行っています。
「BioSee AI」のチームは現在、概念実証(PoC)段階から移行する最中で、今後2〜3年以内に産業規模のパイロット試験を実施する計画。
その一環として、英国の国家プログラムである「ICURe」を通じて体系的な市場調査を行い、バイオプロセス事業者、機器メーカー、センサーの開発企業と連携して、市場の需要や商業化の道筋のより深い理解を目指しています。
バイオテクノロジー業界全体から積極的にフィードバックを求め、本技術を業界のニーズに合致し、幅広い発酵および循環型バイオエコノミーの用途において拡張可能なものとしたい考えです。
参考記事:
News – University of Nottingham launches BioSee AI, a platform to transform bioprocess monitoring – University of Nottingham
University of Nottingham launches BioSee AI to bring real-time visibility inside bioreactors | PPTI News
BioSee AI: Real-Time, Low-Cost Monitoring That Brings Smarter Bioprocessing to SMEs – Health + AI Tech Show is officially accredited by The CPD Group.


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