AIを活用して培養肉生産の高速化・低コスト化を進める米Pythag Techが、約6.7億円のシード資金を調達

米国・ニューヨークを拠点とするPythag Techが、培養肉の商業規模生産におけるコスト削減と期間短縮を目指す人工知能(AI)を活用したプラットフォーム開発のため、シードラウンドで425万ドル(約6億6,900万円)の資金調達を完了したと発表しました。
AIを用いて培養プロセスを最適化
培養肉業界が資金不足に直面する中、生産規模の拡大やコスト低減といった元来困難な課題が、業界企業にとってさらに厳しいものとなっています。
Pythag Techは、こうした企業が研究開発プロセスを最適化し、より迅速かつ経済的に市場に参入できるよう支援するAIプラットフォームを構築しました。培養肉業界における主要なコスト要因である「培地」、「細胞株」、「バイオプロセス」の3点に焦点を当て、大規模な実験を通じてコスト削減につながるパラメータを特定するものです。
今回のシードラウンドは、気候変動対策に特化したアーリーステージの企業に投資を行うAzolla Venturesが主導。Pythag Techはこの資金を、生物学的データセットの拡充や機械学習技術の拡張に充て、最適化されたプロセスを構築して、それを培養肉スタートアップ各社にライセンス供与することを目指しています。
同社の開発は、コンピュータ上のシミュレーションなどを用いる、いわゆる「ドライラボ」から始まります。既存の公開データに対して計算ツールを駆使し、どの分子が細胞内の成長経路を活性化し得るか」、「どの栄養素が細胞にとって不要か」、「どのような条件に検証する価値があるか」といった仮説を立てて、検証すべき項目を絞り込みます。
その後、実際の設備を用いた「ウェットラボ」に移行し、可能な限り多くの実験を低コストで行って、多様なデータを大量に収集。このデータの上に機械学習モデルが構築されます。
モデルは蓄積された全データを横断的に分析し、細胞、栄養素、プロセス条件の間の相関関係を特定した上で、次にどのような実験を行うべきかを示唆。同社のスタッフはその指示に従って実験を繰り返し、結果をシステムに入力します。実験を重ねるごとにプラットフォームは進化するため、少ない予算でも迅速に開発を進めることが可能になります。
迅速な製品の市場投入を支援
Pythag Techは2024年、細胞農業業界向けの市場インテリジェンス・プラットフォーム「Clean Meat Terminal」を携えて、この分野に参入しました。
2025年8月には、オーストラリアの培養肉企業Magic Valleyが同社と提携して、そのプラットフォームを生産プロセスに統合。この取り組みによって生産コストの低減と研究開発期間の短縮を見込んでいます。
共同創業者でCEOのSami Nabulsiによると、現在は自動化設備の導入を進めているほか、オーストラリア・メルボルンのラボに加え、タイに2つ目のラボを開設し、データ生成を担うウェットラボのチームを拡大しているとのこと。
またAIチームも強化し、ドライラボでの発見プロセスを拡充して、実験環境で検証を行う前に、計算作業を通じてより多くの仮説を導き出せるようにしています。
「こうした体制を整えることで、細胞・培地・バイオプロセスの各領域において収集しているデータをさらに拡充し、より広範なデータセットを構築していきたい。このようなプラットフォーム強化によって、食品企業との共同研究開発の場を作り、迅速な製品の市場投入を支援できるようになる」とNabulsiは話しています。
Azolla Venturesの共同創業者Matthew Nordanは、「社会が豊かになるにつれて人々の肉の消費量は増加し、実際、1970年からの半世紀で、世界の一人あたりの食肉生産量は55%増加した。従来の生産手法では、その需要に対応しきれなくなっている」と指摘。
「培養肉はこの問題の解決策となり得るが、それには機能的に従来品と同等でありながら、より低コストであることが条件だ。Pythag TechはAIを活用して培養肉の生産を効率的かつスケーラブルなものにし、食の未来を切り開こうとしている」と述べています。
参考記事:
Pythag Tech Secures $4.25M Seed Round to License AI-Designed Cultivated Meat Processes
Pythag Tech Gets $4.25M to Make Cultivated Meat Production Faster & Cheaper with AI
Pythag Tech Raises $4.25M in Seed Funding Led by Azolla Ventures


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