宇宙で排出したガスを水と食料に変換、Solar Foodsが「深宇宙食コンソーシアム」の創設メンバーに

フィンランドのガス発酵企業Solar Foodsが、「Deep Space Food Consortium(深宇宙食コンソーシアム:DSFC)」の創設メンバーに加わりました。長期の宇宙ミッションにおいて食料を確保するという課題を、独自の発酵技術によって解決する狙いです。
宇宙空間で排出ガスをタンパク質に変換
DSFCは、米国の非営利団体メトセラ財団(Methuselah Foundation)から財政的な支援を受け、米航空宇宙局(NASA)とカナダ宇宙庁(CSA)が実施する国際コンペ「Deep Space Food Challenge」の運営陣およびパートナーによって設立されました。
なお、Solar Foodsは、このコンペの2024年大会においてインターナショナル部門で優勝を果たしています。
このコンソーシアムには、宇宙機関、研究者、食品企業、技術開発者、民間宇宙ステーション企業、そして資金提供者が集結。その主な役割は、共通の重点研究分野の設定、実装が遅れている領域の特定、そして地球低軌道や長期探査ミッションに向けた食料システム技術の検証を支援することです。
Solar Foodsは、CO₂と水素を主原料とするガス発酵によって、「Solein」と呼ばれる単細胞タンパク質を生産してきました。宇宙ステーションでは、水分子を分解して乗組員用の酸素を生成しますが、その過程で生じる水素は通常、宇宙飛行士が出すCO₂とともに宇宙空間へ放出されてしまいます。
同社は宇宙ステーションの運営者に対し、これらのガスを自社のバイオプロセスに取り込むことで、水を回収しつつ、船内で新鮮なタンパク質を生成できると提案しています。これにより、地球から補給しなければならない食料や水の削減が可能になります。
「食」はミッションの成否を分ける決定的な要因に
ナスダック・ファースト・ノース(Nasdaq First North)市場に上場しているSolar Foodsは、プロテインドリンク、マヨネーズ、クリームといった数々の試作品を発表してきました。味の素などと組んで、シンガポールや米国では「Solein」を用いた製品の発売も実現させています。
同社はDSFCへの加盟に先立ち、ドイツの宇宙関連企業OHB System AGとの契約を締結。この契約は、無重力環境下での稼働を想定した小型のガス発酵パイロットプラントを開発するものであり、欧州宇宙機関(ESA)からの資金提供を受けて、将来的に国際宇宙ステーション(ISS)での試験運用を見据えています。
長期的な展望として、Solar Foodsは独自の発酵技術を、民間宇宙ステーションや、いずれ月や火星に建設される居住施設の生命維持システムに統合することを目指しています。
DSFCの共同設立者であり、運営および取り組みを統括するAngela Herbletは、「かつての海洋探検から極地探査に至るまで、歴史が繰り返し証明してきたとおりだが、多くの場合に『食』はミッションの成否を分ける決定的な要因となり、これは宇宙においても変わらない。宇宙における食の未来は、まさに宇宙における人類の未来を決定付けるものとなるだろう」と述べました。
Solar Foodsの上級副社長を務めるArttu Luukanenは、「地球上の極めて過酷な環境であれ、あるいは将来的に地球の外であれ、人類がどこに住んでいても食料を生産できるようにするための科学的進歩に貢献していきたい」とコメント。
「根底にある問いは常に同じで、従来の農業が選択肢に入らない状況下で、いかにして栄養価の高い食料を生産するか、ということだ。宇宙は最も過酷な試験環境であり、そこで機能する技術は、地球上のよりレジリエントな食料システムの構築にも役立つはずだ」と語っています。
参考記事:
Solar Foods | LinkedIn
Solar Foods joins Deep Space Food Consortium as Foundational Member – Solar Foods
Solar Foods Joins Deep Space Food Consortium, Pitching Solein as a Way to Recover Water in Orbit


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