デンマーク企業のCellugyが、化石燃料を使用しないスキンケア成分の生産を産業規模で実現

発酵技術を開発するデンマークのスタートアップ企業Cellugyが、化石燃料由来の原料を一切含まないバイオ由来のスキンケア成分の生産規模を、従来比10倍の15,000リットルへと拡大することに成功したと発表しました。

石油由来の増粘剤を代替


2018年にオーフス大学で設立されたCellugyは、微生物発酵プラットフォームを活用し、微生物が自身の表面に分泌する多糖類、「菌体外多糖(exopolysaccharides)」を生成させることで機能性原料を生産しています。

同社が提供するバイオ素材は、レオロジー特性の調整、安定化、官能特性の向上、さらには生物活性といった機能をもたらし、石油由来原料やマイクロプラスチックを含む既存の素材に代わる選択肢となります。

最初の製品である「EcoFLEXY Rheo」は、特定の細菌株が生成した高純度な結晶性セルロースから作られる、パーソナルケア製品向けのレオロジー調整剤(増粘剤)。化石燃料由来の原料をセルロースに置き換え、優れた懸濁性、安定性、そして使用感を実現します。

増粘剤はパーソナルケア業界において不可欠な存在ですが、現在市場に出回っているものの約70%は石油由来であり、化学物質によるリスクから人の健康や地球環境を守ることを目的としたEUの「REACH」規則においても規制対象となっています。

一方、「EcoFLEXY Rheo」は、キサンタンガムやセルロースガムといった従来のバイオ素材では実現し得なかった機能を提供できるほか、植物由来のナノセルロースを扱う際に生じるような問題も回避できるとされています。

この原料は昨年、同じデンマークの企業であるBioliとのコラボレーションにより、スキンケアクリームの成分として初めて製品化されました。

追加投資も得て商業化を進める


Cellugyは環境に配慮した素材技術の拡大に向けて、昨年6月に欧州連合(EU)の「LIFE」プログラムから810万ユーロ(約14億4,000万円)の助成金を獲得。

このたび、ベルギーのゲントにある「Bio Base Europe Pilot Plant(BBEPP)」の施設において、15,000リットルでプラットフォームの実証を完了し、生産を産業規模のレベルへと引き上げました。その過程において、製品の品質と性能を一貫して保つことに成功しています。

同社によると、今回の成果によってスケールアップに伴うリスクが大幅に低減され、商業パートナーシップの構築や市場投入に向けた強固な基盤が整ったとのことです。

BBEPPの事業運営責任者を務めるHendrik Waegemaniは、「わずか16カ月で発酵プロセスを4リットルから15,000リットルへと拡大できたのは、非常に大きな成果だ」と高く評価。

BBEPPとCellugyのチームは、スケールアップの各段階を通じてパラメータを調整しながら必要な変更を加えていったといい、「これにより、独特な発酵液の性状を持つ、従来とは異なる製品を扱う際の課題を克服できた。綿密に練られた計画があれば、極めてユニークな発酵プロセスであっても15,000リットル規模で十分に実現可能であることの証だ」と語っています。

この実証によって開発における重要な転換点に到達したというCellugyは、先週さらに215万ユーロ(約3億8,200万円)の追加投資を確保。

今後は産業規模での試行を通じて得られた知見を生かして「EcoFLEXY」シリーズの商業生産に向けた取り組みを進めるとともに、同プラットフォームの用途を化粧品やパーソナルケア製品、その他の高付加価値市場へと拡大していく方針です。

参考記事:
Cellugy validates industrial-scale manufacturing platform with successful 15,000L EcoFLEXY production run – Bio Base Europe Pilot Plant
Denmark’s Cellugy Brings Fossil-Free Skincare Production to Industrial Scale
Cellugy scales its EPS fermentation platform tenfold – World Bio Market Insights

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